犬を飼い始めると、生活リズムに変化をもたらすのは散歩の世話ではないでしょうか 。飼い主のライフスタイルによっては、愛犬の散歩がいい加減になってしまうこともあるでしょう。しかし、犬にとって散歩は必要不可欠な日課であることは言うまでもありませんね。
そこで、犬にとってベストな散歩とは?散歩する時間帯やかける時間は?嫌がる場合のしつけ方は?子犬はいつから散歩デビューさせるの?など、犬の散歩に必要な知識全般をまとめてみました。
初めて犬を飼い始めた飼い主さんはもちろん、愛犬の散歩について見直してみようと思う飼い主さんもぜひ参考にしてみて下さい。
犬の散歩の必要性
そもそも、犬にとって散歩とはどんな意味合いがあるのでしょうか。真っ先に思い浮かぶのは、ストレス発散と運動不足の解消だと思います。ずばりその通りで、室内飼い室外飼い問わず、犬にとって散歩は必要不可欠なものであると理解しましょう。
そしてこれは犬に限らず、飼い主である人間にも得られるメリットでもあります。実際に犬を飼っている人に行った調査によると、犬の散歩にはこのような前向きな感想が多いということでした。
- 友達が増える。
- 健康的になる。
- 毎日が楽しい。
散歩は、犬と飼い主共に、心と体の両面でプラスの働きがあることが分かります。海外でも、「犬と散歩をすることが医療費の削減につながる」「定期的な運動が必要な糖尿病患者にとって、犬を飼うことは長期的なメリットになる」といった報告が相次いでいます。
また、飼い主と愛犬とのコミュニケーションにも必要です。
犬の散歩はどの時間帯に行えばいいの?
基本的に、犬の散歩の時間はいつでも大丈夫です。ただし、天候によってはムリに散歩をしない方が良い場合もあります。もちろん毎日散歩ができれば犬も満足するでしょう。しかし悪天候の中を無理に散歩に連れ出した結果、犬が散歩を嫌いになってしまっては元も子もありません。
また、犬のしつけ上は散歩に出る時間を決めない方が良しとされています。なぜなら、散歩の時間を定時に設定することによって、その時間になると愛犬が散歩を要求してくるようになるからです。その時間に散歩に出れないことがあったりすると犬はストレスを溜め、無駄吠えしたり駄々をこねるようになってしまいます。
犬にとってもストレスを溜めることは体に良くありませんから、散歩に出る時間はあえて決めないで、その日によってランダムにすると良いでしょう。
真夏には時間帯を考慮した散歩を
大型犬であっても、犬は人間よりも地面に近いところを歩くことになります。太陽の熱で長時間熱せられたアスファルトでは、犬の肉球が火傷を負ってしまう可能性もあるのです。人間が「ちょっと暑いかな」と感じる気温が、犬にとっては焼けた砂浜の上を歩くようなものになります。
そういうときの散歩は、当然控えた方が良いでしょう。日が昇り切る前の午前中か、日が沈みかけて涼しいと感じられるようになるころを選んだ方が無難です。なお、冬も雪の上などの冷たい所は、考慮してあげましょう。
犬の散歩にかける時間は?
どれくらい散歩を行えばいいのかは、犬の体格によって必要な運動量が変化します。目安としては、小型犬で1回20~30分の散歩を1日に2回。大型犬では30~60分程度の散歩を一日に2回行うことができれば理想的です。
この目安を参考に、まだ犬を迎えていない人は自分のライフスタイルで散歩の時間が確保できそうかどうかを検討するといいでしょう。
例えば、何となくゴールデンレトリバーを飼ったけれども、散歩の時間を確保することができない…という場合には、犬にストレスフルな生活を強制することになってしまいます。運動不足の犬は、攻撃的になったりムダ吠えをするようになってしまいます。
そして、飼い主だけではなく近所にも迷惑をかけてしまうことになりかねません。ある程度、ライフスタイルに合った散歩時間を確保することができそうな犬種を選びましょう。
長時間散歩すればいいというものではありません
生後1年未満の成長期にある犬には、過剰な散歩は禁物です。人間の子供と同じように、骨が成長段階にありますので、過剰な負荷は骨の成長を阻んでしまうことがあるのです。
同じように、妊娠後期のメス犬や老犬、関節炎などを患ってしまった犬の散歩では、犬の様子を見ながら慎重に行うようにしてください。
散歩のルートは?
犬を散歩させようとする場合、そのルートは人間だけであらかじめチェックしていた方がよさそうです。近所だからといって、人間にとってはなじみ深い場所だとしても、犬の目線で見てみると犬にとっては危険に満ちている場所だったという場合もあります。
例えば自然豊かなところでも、犬にとっては毒性のある植物がたくさん生えている場所もあります。
また、住宅地の場合、縄張り意識の強い犬がいる家があることや、犬が拾い食いの誘惑にかられてしまいそうなゴミ収集所の近くなどは避けた方がいいでしょう。いずれも、人間だけで歩いているときには特に気にならないポイントです。
犬の散歩は毎回同じルートを歩くと思われがちですが、実はあえてルートは決めない方がいいでしょう。毎日同じルートを歩いていれば安心かもしれませんが、犬も人間も飽きてきます。
いくら運動目的とはいえ、犬にとっても新鮮味がなくなってしまいますので、散歩コースをいくつか用意しておけば飽きることもなくリフレッシュできると思います。
また、散歩をリードする飼い主が飽きてしまっては、日課である散歩に行くモチベーションが下がりかねません。いくつかルートの候補を持っていれば安心ですし、気の向くままに、散策するように行う散歩もまた楽しいものです。
散歩に行けない日があっても大丈夫?
犬の散歩は毎日行うことが基本です。しかし、散歩を欠かしてしまったからといって急に体調を崩したり死んでしまう犬はいません。賛否ありますが、2日に1回、もしくは3日に1回でも大丈夫だという獣医もいます。もちろん犬の生活環境にもよりますので、その辺りも考慮して決めましょう。
分からない場合は、かかりつけの獣医さんに相談するといいかもしれません。場合によっては、無理に散歩をすることで、飼い主のモチベーションまでも下がってしまうと、これから先の犬の世話も大変になってしまいます。
犬も飼い主も無理せずに行えることが大切です。前述したポイントに注意しながら、散歩を楽しむことができれば、日課としてではなくストレス解消やリフレッシュとして行うことができるでしょう。
犬種によって、ある程度の目安はありますが、あまり決まりを作らずに犬も飼い主も楽しく行うことが一番大切です。散歩は犬とのコミュニケーション。お互いに散歩に出ることが楽しみとなるように、工夫していきたいものですね。
子犬の散歩デビュー!始めるタイミングは?
犬を飼うということは、犬の散歩デビューを経験するということになります。子犬から飼育する場合、当然ながら子犬の頃から散歩をすることになるわけですが、一般的には生後14週以降にデビューするのがいいとされています。その理由は、ワクチンプログラムです。
様々な感染症の脅威から守るため、ワクチンプログラムが終了するまではむやみな散歩は控えるべきだと言われているのです。しかし近年では、ワクチンプログラムが終了する前から散歩をすべき、もしくは散歩をしているという人もいます。
子犬の散歩デビューについては、上のとおりこれまではワクチンプログラムが終了してからというのが常識として定着していました。つまり、生後13週もしくは14週目以降あたりを目安に散歩デビューすることが推奨されていたわけです。
ところが、最近はそれよりももっと早い段階で散歩デビューさせた方がいいという考え方が主流となりつつあります。その理由として挙げられるのが、子犬の社会化期との兼ね合いです。子犬は、生まれてから3~4週目以降からいわゆる社会化期という時期を迎えます。
これは、様々なことを吸収して犬としての社会性を養う時期となっており、この時期をしっかりと過ごすことができなかった子犬は成犬になってから問題行動を引き起こしやすくなるとも言われるほど大事な時期となります。
この社会化期に、他の犬はもちろん、人間や犬と同じペットである猫などへ対しても友好的に接することのできるような性格を養うことができます。社会化期は、概ね12~13週目までの間となりますので、この短期間でいかにして社会性を身に付けるかがとても重要なのです。
散歩は、子犬にとってとても刺激的で、社会化期に外の世界と触れることで、恐怖を克服していくのに必要です。
ワクチンプログラムが終了する時期と社会化期の終了時期が重なってしまうため、ワクチンプログラムが終了するまで散歩を待つとなるとこの大事な期間をみすみす逃してしまうことになってしまいます。
社会化期というのは、より多くのものを学んで吸収することに適した時期でもあるため、効果的に社会性を身に付けさせるにはこの時期を置いてほかにはありません。
子犬の散歩デビューは飼い主によって意見が異なる
実際問題、子犬の散歩デビューに関しては、「慎重派」と「推進派」に分かれています。慎重派はワクチンプログラムが終了してから散歩デビューさせるべきという考え方、推進派はワクチンプログラム終了以前から散歩させるべきという考え方です。
どちらが間違いでどちらが正しいということはありませんが、ワクチンプログラムという縛りがないのであれば、やはり社会化期という大切なタイミングは大事にしておきたいところです。
仮に、ワクチンプログラムが終了する以前から外の世界に触れさせたいということであれば、感染症リスクに備える必要があります。いきなり歩かせるのではなく、最初は子犬を抱えながら外の世界に触れさせるのがいいでしょう。
他の犬がいるところはもちろん、他の犬が集まりそうなスポットを避けるようにし、外は安全であることを徐々に教えていくのがベストです。いきなり幹線道路沿いを歩いたり、人が多く集まるような場所へ連れて行くのではなく、最初は静かな環境で慣れさせてあげることを優先しましょう。
子犬を抱えて歩くとは言っても、その際には首輪やリードなどを装着しておくといいかもしれません。はしゃぎすぎて思わぬ事故を招きかねませんので、リード等は必須。最初から首輪やリードに慣れさせることで本格的に散歩デビューした際に嫌がることもなくなりますし、首輪やリードを持ち出すだけで散歩へ行くということを認識してくれるようにもなります。
子犬を初めて歩かせる際の注意点
しばらくは感染症に注意しながら外の世界に慣れさせていきますが、ある程度外の空気にも慣れてきたら歩かせてあげる段階に入ります。その場合も、ワクチンプログラムが終了していないのであれば人や犬のいない広い場所で遊ばせてあげます。
遊ばせる場所まではもちろん抱っこなどをしながら連れていき、芝生など足元の柔らかい場所を選択しましょう。肉球自体もまだ柔らかい状態でもありますので、コンクリートやアスファルトでは傷つけてしまうこともあります。芝生などでも肉球が傷つくことがありますので、タイミングを見つつ適度に遊ばせることが必要です。
遊ばせる際にも、首輪やリードの装着は必ず行うようにし、散歩にはそれが付き物であることを認識させるようにしましょう。
遊ぶことに慣れてきたら少しずつ人の多い場所へ行き、人間に慣らすことも必要です。ワクチンプログラムが終了してからは、なるべく人や他の犬とのふれあいを意識していくようにします。
散歩に必要なグッズはこちらの記事も参考にして下さい。
本格的な散歩は生後6か月ほどを目安に
少しずつ散歩の初期段階に馴染んできたら、その後はいよいよ本格的な散歩デビューということになります。本格的な散歩デビューは、生後6か月ほどを目安にするのがいいとされていますので、その前後からリードを付けて歩くようにしていきます。
ただし、まだ骨が成長中でもあるので、あまり負荷のかかる散歩はおすすめできません。少しだけ歩かせたら、あとはこれまでどおり適度に遊ばせるということを繰り返しつつ、徐々に距離を伸ばしていくようにしましょう。
生後1年ともなれば、骨の成長もストップしますので、そこからはしっかりと運動をする目的で散歩をします。
子犬の散歩デビューは、もっとも気の使う時期と重なります。そのため、安易な気持ちで無理矢理歩かせるようなことだけはしないようにしましょう。
子犬を迎えれば、犬よりも飼い主の方がワクワクしてしまいますので、ついつい長いこと歩かせ過ぎたりしてしまうこともありますので、タイミングはしっかりと図りつつデビューを模索するようにしましょう。
散歩デビューは早すぎても問題がありますし、遅すぎても問題があります。ワクチンプログラム終了期と社会化期の終了とのタイミングを意識し、抱っこしたりキャリーバッグなどを活用して、子犬にとって最適な散歩デビューをサポートしてあげましょう。
散歩を嫌がる、歩かない犬をしつける方法は?
初めて犬を飼う人にとっては、犬と一緒に近所を歩くことを楽しみに思い描いている人もいらっしゃるでしょう。
人によっては、時と場合によっては負担に感じてしまうこともあるかもしれませんね。しかし、犬にとっては一日のうちで餌と同じくらいに楽しみにしているのが散歩なのです。せっかくの楽しみであるのに、散歩を嫌がってしまう、歩かない犬も少なくありません。
- 「どうして歩かないのだろう…」
- 「しつけの問題かな?」
- 「うちの犬はどこかおかしいのでは?」
…と心配する飼い主もいらっしゃいます。そんな、犬の散歩に関する問題を取り上げてみました。まずは、どうして犬が散歩を嫌がるのか原因を探ってみましょう。散歩を嫌がると言っても、いくつかのケースがあります。
怪我や体調不良
体調不良や病気、怪我が原因で散歩を嫌がっていることも考えられます。あまりにも散歩に行きたくないような状態が続く場合には、動物病院で診察を受けてみることをお勧めします。
前回の散歩で嫌な思いをした
花火や爆竹、車など、大きな音の出るものに遭遇したり、他の犬に襲われて嫌な思いをしたりする経験があったのであれば、それが原因で散歩そのものを怖がってしまうようになったのかもしれません。
その原因はすでに取り去られたとしても、無理に連れ出そうとしないで、犬が自分から散歩に行く気になるのを待ちましょう。落ち着いた環境や安全な場所で2~3日ゆっくりと過ごしていると、少しずつ回復していきます。
これらの原因では、散歩をするようにしつけるというよりも、原因を探り当ててそれらを取り除くということが重要になります。
首輪やリードの付け方を見直す
散歩の場合、たいていはまずリードを取り出して準備をするのではないでしょうか。毎回のパターンとして犬が認知しやすい行動でもあります。散歩を楽しみにしている犬は、飼い主がリードを持ちだしただけで、尻尾を振って喜びを表現するものです。
けれども、散歩の準備を始めたとたん、いつも逃げていくという犬もいます。この場合、早くリードを装着しようとして犬を追いかけまわしたりしてはいませんか?
人間が追いかけるような形になれば、犬は本能で逃げ回ります。追いかけっこのような形になってしまいますから、玄関先でリードなどを準備して静かに座って待っていましょう。
犬が近くに寄ってきたら、犬の正面からリードをつけるのではなく、横や後ろの方からゆっくりと落ち着いて装着します。また、使用している首輪やハーネスなどがきついという場合もあります。犬が痛みや不快感を覚えて、散歩を嫌がっている場合があるのです。
散歩中に犬が引っ張ると首が締まってしまうしつけ用のチョークチェーンや、スリップカラー、胴体が締まってしまうハーネスやマズルを縛るタイプのものは、犬に痛みや不快感を与えます。散歩の際には、犬に負担をかけないタイプを選びましょう。
子犬時の散歩デビューも大事な時期
マンションなどの場合、玄関から建物の外に出るまでの間に共有スペースがあるところがあります。自宅の中とも外とも違うこの空間を嫌がる犬は意外にも多く、これがネックになって散歩を嫌がる場合もあるのです。
しかし、そのスペースもクリアしている、あるいは一軒家に住んでいるのに散歩に行きたがらない犬もいます。これは、子犬の時に散歩を始める時期が遅くなってしまっていた犬によく見られるものなのです。
子犬の頃は、外からのさまざまな刺激に慣れさせやすい時期があります。これは、生後3週目からはじまって、10~12週目くらいのうちに完了すると言われています。この時期を社会化の感受期といい、この時期に適切な刺激にさらされることで、子犬は周囲の環境に適応することができるのです。
ところが、この時期が終わってしまうまでに犬を外に出さないでいると、散布で出会う刺激を脅威に感じるようになってしまうのです。ですから、ワクチンプログラムは感受期間に重ならないようにしましょう。
期間を逃してしまった場合でも、刺激の少ないところから少しずつ慣れさせることは可能です。広く、自然豊かな公園や河川敷で、人も犬もリラックスして散歩に慣れていきましょう。
散歩のしつけ
散歩中のリードの問題。飼い主よりも先に立って歩いている状態では、しつけという意味においてもあまり良いことではありません。お散歩中は飼い主の横に付いて歩けるようにしておくのが理想的です。
しつけの行き届いた犬はノーリードであっても飼い主より先を歩くようなことはしません。お散歩中のしつけができていれば、他人や他犬に向かって走っていくようなこともなくなりますし、道路に飛び出して事故に遭う危険もなくなります。
犬の散歩まとめ
散歩は犬にとって習慣であり、運動を行う大切な日課です。生活の中での楽しみであり、犬の生活の質が散歩によって向上するといっても間違いありません。
ゆっくりした速度で、犬の気が向くままにブラブラ歩くスタイルで構いませんので、必ず毎日散歩をしてあげて下さい。
そして犬が散歩を嫌がるということには、必ず何かしらの原因があります。『しつけを行って散歩をさせる』というよりも、原因を追究して改善策を取った方がより大きなメリットを得ることができます。
飼っている犬が、何に不快感を示し、不安に思っているのか。散歩での態度をきっかけに、もう一度よく犬の気持ちに寄り添っていきましょう。
犬の散歩に必要な散歩グッズはこちらも参考にしてみて下さい。