愛犬の飼育を始めると、最初こそトリミングサロンなどにお願いしてカットをしてもらうことになりますが、そのうち飼い主自らカットするようになるケースもあります。
最初こそ、ぎこちない手付きでカットしていた飼い主さんも、いつの間にかプロのトリマーさんに負けないくらい上手にカットできるようになる場合もあります。それも、愛犬の特徴をしっかり把握できている勤勉な飼い主さんということになりますよね。
もちろん、自分でトリミングするのがなかなかうまくいかない方は、トリミングサロンへお願いするのだって間違いではありません。ここでは、犬のトリミングの意味やメリットなどについてご紹介します。
そもそもトリミングとは?
トリミングは、「カットする」とか、「整える」といった意味のある「トリム」という単語が元になっています。つまり、「カットする行為・整える行為」のことをトリミングと呼びます。
そして、トリミングを行う人のことをトリマーと呼び、文字通り「トリミングする人・トリミングするもの」という意味になります。
よく、植木をカットしたりする機械にもトリマーと呼ばれるものがありますが、それも「カットする・刈り込む・整える」という意味から付けられた名称です。
なぜトリミングをする必要があるの?
人間が、美容院や理容院へ行くのは、伸びた毛をカットするためですが、トリミングサロンはいわゆる犬の美容院となります。犬も、人間のように毛が伸びるため、定期的なカットが必要になるのです。
短毛種の犬であれば、それほどトリミングにこだわる必要はありませんが、ヨーキーなどの犬種は被毛がどんどん伸び続けてしまいますので、定期的にトリミングを行うのが必須となります。
では、なぜトリミングをしなければならないのか、その理由について説明していきましょう。
汚れ防止
被毛が伸びれば、地面や床に接してしまうため、確実に被毛が汚れてしまいます。たまに、被毛が汚れて薄汚いワンちゃんを見かけることもありますが、他の愛犬家に対する印象も良くありません。
被毛の手入れの第一段階として、トリミングは欠かせません。
寄生虫の予防
トリミングをすることで、ダニやノミなどの被害も最小限に抑えられます。トリミングせずに伸び放題となってしまえば、ダニやノミなどにとっては最適な住居ともなってしまいかねませんし、実際にそういった体験をされている飼い主さんも少なくないのです。
効果的にカットし、あるいは被毛を漉いたりすることで、そうしたダニやノミの住み着きにくい環境を作ることができます。
衛生面の効果が高い
例えば肛門の周辺などは、下痢をした際には便が付着してしまう等、衛生的にもよくありません。肛門周りの被毛をカットしておくことで、衛生的にも安心できます。
また、メス犬のヒート時や出産時なども、被毛をカットしておくことは効果的です。
不要な怪我を防止する
足裏の被毛が伸び放題となっていると、フローリングなどでスリップしてしまい、思わぬ怪我をしてしまうこともあります。また、犬種によっては目の周辺にある被毛が眼球に入り、涙やけ等の原因や眼球の疾病を招くこともあります。
夏の暑さ対策にも最適
犬の体温は非常に高いため、夏場はとても不快指数が高くなってしまいます。特に、寒い地方が原産の犬種ともなれば、日本の絡みつくような暑さは大敵ですし、熱中症になってしまう犬も少なくありません。
元々被毛の長い犬の場合は、サマーカットと呼ばれるような短くカットしてしまう方法で暑さ対策とすることもできます。被毛を短くしてしまうことで皮膚と被毛との間の空気循環を良くすることができるため、熱中症予防にもなります。
愛犬をより愛らしく魅せるための方法
トリミングには、愛犬をより一層美しく、そして愛らしく魅せられるというメリットがあります。プードルに代表されるように、ショーカットというものが確立されている犬種であれば、ライバルたちに負けないほど美しく魅せることも可能です。
トリミングの頻度は?
トリミングは、基本的に1~2ヶ月に1回といった感じでしょうか。トリマーさんからの指定がある場合はそれに従いましょう。ですので、カットが終了したら、次はどの位のタイミングで来店をしたらよいか聞くことをおすすめします。
また、その逆もありだと思っています。飼い主さんの都合によって次のカットに来られるのがどの位先かということを相談してカットの内容などを決めていくというやり方です。
それ以外は、目に毛がかかってきているかどうかというところを目安にするのもいいでしょう。
頻繁に行くと問題が起こることも
1~2ヶ月に1度の割合で行くのですが、「愛犬をもう少しおしゃれにしたい」という気持ちが強くなり過ぎると、月に1回が3週間に1回というように、頻度が縮まってきてしまうことがあります。あまりにも頻繁ですと、愛犬に問題が起こってしまうことがあります。
- 肌荒れ (皮脂が奪われて乾燥気味に)
- フケ(乾燥やシャンプーが合わないなど)
- ストレス(濡れることや慣れない場所など)
合わないシャンプーやドライヤーの乾燥などが原因で肌荒れを招いてしまうことがありますし、免疫力が低下しているような場合、炎症を起こしてしまうことも少なくありません。
また、慣れない場所に連れて行かれることをストレスに感じる子もいます。頻繁に通いすぎるのは愛犬にとって良くないようです。
適正な期間で通うことの大切さ
飼い主さんの都合で、なかなかトリミングをしてあげられなかったり、トリミングサロンに通うことができない期間が長くなってしまったりだと、愛犬が困ってしまうことになります。毛のもつれや毛玉の発生もそうですが、毛が目を覆ってしまうような状態になるため、生活に支障をきたしてしまいます。
このような状態が長く続けば、愛犬にとって心身共に負担となるでしょう。飼い主さんには、その辺りを考えてあげてほしいと思います。
子犬のトリミング時期はいつから可能?
トリミングをするには、タイミングが存在します。いわゆる「いつからできるの?」ということです。子犬の初めてのトリミングは、『ワクチンの接種が終わってから』になります。ワクチンが終わった時点で、動物病院から証明書をもらいましょう。この証明書がないと、トリミングを受けに行っても断られてしまいます。
ワクチンは2種類
子犬が受けておかなければならないワクチンは、次の2つです。
- 混合ワクチン
- 狂犬病ワクチン
このワクチンは、同時接種ができないため、1つを受けたら約1ヶ月はあけてから次を打つ形になります。ワクチンに関しては、計画性を持って準備を進めましょう。
証明書は大切に
ワクチンを接種したら、獣医に「証明書が必要」と声をかけてください。トリミングをする必要のある犬種を飼う予定の飼い主さんは、必須です。証明書をもらったら、なくさないようにしてトリマーさんに提示します。
以前、ペットショップで買い物をしていたら、証明書をなくしたという飼い主さんが「トリミングをしたい」と来店していました。証明書がないために、この日はできないと断られていました。こういうことにならないように注意が必要です。
どうしてもの時は獣医に相談もアリ
カットをしなければならない犬種の場合、生活に支障が出てくる部分の毛が伸びてしまうこともあるでしょう。そのような場合は、飼い主さんが行ってもいいと思います。しかし、初めての場合や、目の周りなどの部位だと、傷つけてしまうかもしれません。
このような状況でワクチン接種がまだという場合は、獣医さんに目元のカットを頼めることがあります(トリミングサービスを行っている病院など)。遠慮なくお願いしましょう。
素人がやると危険という箇所は、プロにお願いする方が安心できます。
トリミングはどうやる?初心者はプロに依頼しましょう!
トリミングを行う場合、どの犬も同じようにカットすればOKというわけではありません。犬種ごとに、カットすべき被毛と、カットしてはいけない被毛というものも、実は存在しているのです。
全ての犬種でほぼ共通しているのは、足裏と肛門周辺くらいです。ヒゲもカットする犬種もあれば敢えてカットしない犬種もありますし、初心者が行う場合は足裏や肛門周辺くらいに留めておいた方がいいでしょう。
犬種によっては、「飾り毛」と呼ばれる被毛があります。飾り毛はその犬種を美しく魅せるために切らないケースも多々ありますので、そうした部分も事前にチェックしておくべきでしょう。
飼い主自身でトリミングを行う際の注意点としては、カットする場所と怪我への配慮です。
カットする場所を考えて
足裏や肛門周辺だけでも、結構被毛が散らばってしまいますので、屋外やベランダ等ではあまり行わない方が理想です。周囲に家などがなければ構いませんが、飛び散った被毛でご近所に迷惑をかけないとも限りませんので、その点は配慮するようにしたいものです。
トリマーさんが実際にカットするときの様子を見たことがありますか?犬を台の上に乗せて、トリマーさんの目線に合わせてカットを行っています。そうしないと、切りすぎてしまったなどの不具合が出てきてしまうからです。
飼い主さんが自宅で行う場合は、台の上に乗せて行うか、飼い主さんが座って、抱きかかえるようにするかなど、カットする部分と目線を合わせるようにしましょう。危険な状態を避けるためのポイントです。
2人で組んで、カットする部分を固定させるようにするのもいいですね。愛犬と飼い主さんの安全を第一に考えて行っています。実際に毛をカットする前には、下準備をします。新聞紙やビニールシートなどを用意して毛が巻き散らないように行います。
よく、庭やベランダなどでカットしている方を見かけますが、これではご近所迷惑になってしまいます。苦情が来るようなことがあれば、お互いに嫌な気分になってしまいます。そんなことがないように注意するべきです。
実際にカットが始まったら、焦らずにゆっくりやっていきましょう。愛犬の体を傷つけてしまわないようにすることが大切です。特に注意が必要なのは、目の周りと肛門周り、肉球のところです。
怪我に気を付ける
当然ながら、トリミングには専用のハサミやバリカンを用います。犬が嫌がって暴れた際に、ハサミで怪我をさせてしまうこともあります。トリミングに慣れていない犬であれば余計に暴れたりする可能性が高いので、十分に注意しながらカットすることが必要です。
トリミングサロンの料金も、決して格安というわけでもありませんので、出費をケチって自分でカットしたいという理由もあるかもしれませんが、怪我などさせてしまえば逆に高くついてしまうこともあります。自信が無ければプロにお願いするということは常に念頭に置いておきましょう。
少しでもカットをするということは、ハサミなどの刃物を使います。だから、ケガには十分に注意が必要です。注意したいのは、顔周りと肛門周り、肉球のところです。愛犬が動かないように抑えることも大切ですが、刃物やバリカンを慎重に扱うことも大切です。
顔周りなどは、ミニハサミなどで細かくゆっくりやるように心がけて欲しいと思います。飼い主さんが近くにいたら愛犬はどうしても喜んでしまいます。刃物を持っていることなんて考えず、喜んでじゃれてくることでしょう。
愛犬の気持ちが高ぶっている時は無理して行わないことです。飼い主さんには甘えてしまって、トリミングが難しい場合は、トリマーさんにお願いすることを視野に入れましょう。
ハサミを扱うときは、犬の方に向けないでください。ハサミ全体を寝かせるようにして細かく切っていくと、事故を防ぐことができます。耳が垂れている子は、耳を全部押さえるようにします。そうしないと、頭を振ったときなどに思わぬケガをさせてしまうことがあうからです。
自分で愛犬をトリミングする際に必要な道具
飼い主さんが自分でトリミングを行える部位もあります。少し揃えたり、カットしてあげたりすることは大切です。愛犬も心を許している飼い主さんにやってもらえたらうれしいはずです。
カット用の道具は、セットで売られているものもあれば、個別で買うことができる物もあります。自分に合った物を手に入れましょう。
カット用ハサミ
形状は細長いハサミです。使う時は、愛犬を危ない目に合わせないために、持ち方にや置き方に注意が必要です。コームと一緒に使うと、きれいにカットできます。
梳きバサミ
カット用のハサミと違い、歯に段差がついています。長毛種などの毛は、厚くて梳くことが必要になる場合もあります。夏の暑さ対策にもなりますね。ただし、やり過ぎてしまうと、ムラができてしまうので注意が必要です。
ミニハサミ
カット用のハサミよりもずっと小さく、先が丸くなっている物がおすすめです。(人間の赤ちゃんの爪切りばさみのような形状)
このハサミは、顔周りや肉球の間、肛門周りといった刺ったら危ない箇所を手入れするのに使います。
バリカン
人間用とは少し違います。形状は似ていますが、犬の体に合わせてあります。(愛犬には犬用を使いましょう。)力を入れすぎてしまうと、皮膚を傷つけてしまいますので、注意が必要です。使い方のポイントは「滑らせるように」です。また、刃先を体の方に向けないようにすることもポイントです。
ペンシルバリカン
バリカンの一種で、細かい部分に使用するタイプです。通常よりも小さい物です。足の裏や耳の周りなどを整えるのに使います。
まとめ
愛犬を美しくカットするのか、それとも単に熱中症予防などのために短く刈ってしまうのかによって、その方法は全く異なります。
初心者はまずトリミングサロンにお願いして、トリマーさんが愛犬をカットするところを見ながら勉強するのもおすすめです。
まずは知識を習得してから、自分なりに愛犬を美しく魅せる方法を模索してみてはいかがでしょうか?