今や、犬を飼うということは室内で飼うことを意味しています。そんな室内で犬を飼うようになって、一番の心配事はトイレの問題ではないでしょうか。
犬の飼育にあたって、なかなかトイレを覚えてくれないことに悩む飼い主さんも多いようですね。それは、トイレを用意すれさえすればそれだけで大丈夫だと勘違いしている人が多いからです。
当たり前ですが、犬は便をトイレでするものだという習性はありませんし、トイレを設置したからといってそこがトイレであることなど知る由もないのです。
特定のところでトイレをして欲しい場合は、飼い主によるしつけ、つまりトレーニングによって初めて覚えてくれるものなのです。特に初心者の場合、犬を飼育して初めてするしつけがトイレということになるでしょう。
しかし言葉が通じない犬に対して、しつけがうまくいくかどうか心配…という人も多いのではないでしょうか。ここでは、犬のトイレトレーニングの方法について解説していますので、これから犬の飼育を検討されている方はぜひとも参考にしてみてくださいね!
まずは準備!トイレのしつけに必要なグッズ
トイレのしつけを行うためには、まずそれに必要なアイテムがなければなりません。それが、サークル(ケージ)とトイレトレーとペットシーツです。
サークル(ケージ)
サークルやケージは様々な大きさのものが売られていますが、大きすぎても小さくてもいけません。程よい大きさのものが理想ですが、このあたりはペットショップなどのスタッフに聞けば丁寧に教えてくれます。
目安としては、子犬2頭分・成犬1頭分で、クルクル回っても窮屈に感じない程度の広さが理想です。
サークルやケージは、できればあるに越したことはありませんが、もしすぐに用意するのが難しいということであれば、まずはペットシーツだけあれば大丈夫です。
サークルに関しては、そこがトイレでありご飯を食べる場所ということになりますので、できれば仕切りを作るなどしてトイレスペースと食事スペースを分けてあげるのもいいですし、サークル自体に仕切りの付いたタイプも売られているので、それを利用するのもおすすめです。
トイレトレー
ペットシーツ
ペットシーツも様々なメーカーから発売されていますが、最初はそれほど高機能&高価格なものでなくてもOKです。使用していきながら、色々と試しつつ機能性が高くてコスパの良いものを探していくのがいいでしょう。
その他
その他、ペットシーツから外れて粗相してしまう場合に備えて、新聞紙や消臭&殺菌スプレーも用意しておきましょう。
愛犬のトイレトレーニングを始めよう!
さて、無事に犬もお迎えしてアイテムも揃えたところで、ここからいよいよトイレトレーニングがスタートします。冒頭でも述べましたが、アイテムが揃っているからといって、すぐにトイレができるようになるわけではありません。
どこがトイレなのかを教えていかなければなりません。かといって、「はい!ここがトイレね!」と指示したところで、当たり前ですが分かるわけはありません。それではどのようにしつけていくのか、順序立てて解説していきますね。
参考:ペットニュースストレージ
1.最初は家中のすべてがトイレであると覚悟すること
犬には、「おしっこはトイレでするもの」といった概念がありませんので、したくなったらどこでもしてしまうものです。しかし、それが習性なので、犬を飼育したなら最初は飼い主がその覚悟を決めなくてはなりません。
最初のうちは、必ず粗相をします。絨毯、カーペット、フローリング、壁……犬は場所を選びません。そして、予め伝えておきますが、粗相によって家の中が汚れるのは絶対嫌だと考えているのであれば、今のうちに飼育は諦めるようにしてくださいね?
2.まずは狭い範囲からスタート
犬がトイレを行う場所を決めたら、まずは狭い範囲からスタートするようにしましょう。ペットシーツをサークルで囲んでおきます。犬は便意を催すとき、そわそわと落ち着きがなくなったり、後ろ足の動きがぎこちなくなるなど、個体によって「クセ」があります。
その他にも、しきりに自分のお尻を気にし始めたり、床の臭いをしきりに嗅ぐなどという行動を示す犬もいます。飼い犬の様子をよく観察しましょう。
また、犬が便意を催しやすいのは寝起きとフードを食べた後、運動をした後などです。犬の便意が分かるようになったら、ペットシーツを敷いたサークルの中に誘導します。最初のうちは、小型犬であれば抱き上げてサークルに入れてもいいでしょう。
用を足し始めたら、飼い主はあらかじめ決めておいた指示語を犬に聞かせます。一般的なのは「ワンツーワンツー」という掛け声です。すると、犬は用を足すという行為と「ワンツーワンツー」という掛け声を結び付けられるようになります。
飼い主が「ワンツーワンツー」と声をかけている間は、「安心して用を足すことができる」と覚えさせることがポイントです。最終的には、犬が自分でトイレまで移動するようになることが目標です。
3.粗相をしても絶対に怒らないこと!褒めるべし!
これはよくトイレトレーニングの失敗例に挙げられることですが、粗相をしたからといって怒ってしまうのはNG行為です。
その場合、犬は間違った場所にトイレをしてしまったことに怒られているのではなく、おしっこしてしまった、あるいはうんちをしてしまったことそのものを怒られていると勘違いしてしまうため、家の中でトイレができなくなってしまう恐れがあります。
そうなると、トイレのたびに外へ連れ出さなければならなくなってしまうようになるため、トイレトレーニングとしては失敗となります。粗相をしても決して怒らず、おしっこなりうんちなりをしたら必ず褒めることを優先しましょう。
「おりこうさん」「いいこ」などの声をかけながら、ご褒美を与えます。このように行うことによって、犬の頭の中で「この場所で用を足すとご褒美がもらえる!」と記憶されるようになります。
うまく関連付けられれば、犬の方から積極的にトイレで用を足そうとするようになるでしょう。
また、犬は飼い主から褒められることがとても大好きです。飼い主の意に沿ったことをして褒められることをとても喜びます。ですから、褒めるときにはたっぷりと時間を取るようにしてください。
例えば、寝る前のトイレだったとしても、犬がきちんと用を足した後に「おりこうさんだね。じゃ、ハウスに入って」というように、すぐにハウスに閉じ込めてしまうことはよくありません。
犬にとって、ハウスもしつけられたうえで身に付けるものですが、犬にとっての不快なこと(罰)につながってしまう可能性もあります。その結果、「トイレで用を足すと閉じ込められてしまう」と記憶し、トイレで用を足すことを拒むようになってしまいます。
褒めた後にハウスが必要な場合でも、充分に時間を置いてからにしてあげてください。
トイレのしつけの際はサークルから出さずにおく
子犬を家に迎えれば、それはそれは可愛いものです。まさに、「歩くぬいぐるみ」とでも表現できるくらい、愛らしくてたまらなくなります。しかし、子犬はいきなり見知らぬ環境へと連れて来られて、非常に大きなストレスに晒されることになります。
そんな不安いっぱい状況で「可愛い!可愛い!」とはやし立てられても、嬉しくもなんともありません。家に迎え入れてからしばらくは、サークルの中へ入れっぱなしにしておいて、徐々に環境に慣れさせてあげるのもひとつの方法です。
もちろん、サークル内ですから、そこでトイレをすることになりますし、トイレするたびに褒めてあげていれば、自然とそこがトイレだということを覚えてくれます。
粗相をした場合は、粗相したおしっこをペットシーツに吸収させてそれをサークル内に敷いておくという方法も有効な場合がありますが、それよりも、粗相をしそうになった瞬間に「あ!」と一言大きめの声を発し、犬がこちらに気を取られている間にすかさずサークルへと入れるようにした方がいいです。
そして、サークル内でトイレをしたら褒めてあげるということを繰り返しましょう。
サークル内のトイレは常に清潔を保つこと
これも、結構怠りがちなことですが、犬は清潔な場所で排泄することを好む動物です。「ここがトイレだよ」と教えるために、サークル内に敢えておしっこの染みついたペットシーツなどを敷いておく飼い主さんもいらっしゃいますが、犬は逆に、「汚い場所」だと認識してしまい、別の場所を選んでトイレをしてしまう傾向にあります。
お出掛けして帰宅したらペットシーツが折りたたまれていた!という経験をする飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、それも汚い場所を嫌う犬の習性によるものなのです。
トイレはいつもきれいに、ペットシーツなどもなるべくこまめに取り換えましょう。子犬の時期はおしっこの回数も多いので、ペットシーツではなく新聞紙を使用した方がおすすめかもしれません。
トイレの回数が多い分、それだけトイレトレーニングのチャンスがあるということになります。
トイレトレーニングは子犬期こそチャンス
先にも述べましたが、子犬期はトイレの回数が多いので、トイレトレーニングにはもってこいの時期です。しかも色々なことを吸収する時期でもありますので、一石二鳥でもあります。
寝起きや食後といったタイミングであれば高い確率で尿意や便意をもよおしますので、すかさずサークルに入れてあげるのがおすすめです。
その際に、「トイレ」とか、「おしっこは?」といったような言葉をかけるようにしてあげれば、それがいつの間にかその言葉を命令と判断するようになってもくれます。
トイレに失敗してしまった時には…
トレーニングの途中はもちろんのこと、しつけが完了したと思っても犬はトイレに失敗することがあります。飼い主としてはがっかりしてしまいますが、犬もまた「失敗してしまった」と理解していることが多いのです。
その上で、つい声を荒げてしまうことはよくありません。飼い主が大きな声を出してしまうことは、犬にとって「喜んでくれているのかな?」という解釈になってしまうのです。
犬が失敗してしまった場合には、あまり声を出さずに静かに後始末に取り掛かりましょう。
その後始末ですが、飼い主が処理をしているところを犬に見せないようにしてください。なぜなら、「あそこでおしっこをすると飼い主が来てくれる」「いろいろなところでおしっこをして、飼い主に構ってもらおう!」と思ってしまいます。
犬がトイレに失敗したら、まずは犬を別のところに移動させ、片付けましょう。汚れた場所をタオルなどでふき取り、消臭スプレーをかけて臭いを消し去ります。臭いが残ったままですと、再び同じ場所にしようとするので再発防止を打っておきます。
まとめ
以上が、トイレトレーニングに必要な方法です。室内で快適な生活を送るためにも、飼い主も犬も一番のネックとなるトイレの問題を解決しなければなりません。これらを実践していれば、大抵の犬であればトイレを覚えてくれます。
始めのうちは手間がかかりますが、犬は賢い動物ですので一度覚えればすんなりと決まった場所で用を足してくれます。また、トイレトレーニングは成犬であっても十分に可能です。
子犬期の頃から飼育しているのに成犬になってもトイレを覚えないのはそもそものトイレトレーニングが間違っているか、もしくはトレーニングをしていない状況ということになります。しかし、場合によっては里親として引き取るというケースもあります。
前の飼い主がしっかりとしつけを行っていれば、環境が変わってもちゃんとトイレができる子もいますが、しつけができていなければ新しい飼い主が教えてあげなければなりません。
しっかりとトイレの環境を整え、根気がいる作業とはなりますが、教えていけば必ず覚えてくれるようになります。いくつかトイレポイントを用意してあげるのも有効ですし、「ペットシーツがトイレをするところ」ということを覚えさせましょう。
子犬のしつけと同様に、粗相しそうになったら「あ!」と大きめに一言発し、すかさずトイレに入れるのが良いと思います。もちろんその際にも、トイレをしたらしっかりと褒めることは忘れずにおきましょう。