一昔前ほどは野良犬や捨て犬を見かけなくなったとはいえ、飼い主に裏切られて捨てられてしまう犬もまだまだ後を絶ちません。現在では動物愛護団体などの努力もあり、新しい飼い主の元へ引き取られるケースも増えてきている傾向にはありますが、それでもすべての犬を救済することは難しいのが現状です。
昔は野良犬や捨て犬を拾ってきては親に怒られたなんて話もよく見聞きしましたが、最近ではあまりそうした話も聞かなくなったように感じますよね?確かにそれはそれで喜ばしいことかもしれませんが、だからといって野良犬や捨て犬がゼロになったというわけではありません。
哀しい現実ですが、まだまだそうした不本意な思いをしている犬も多いはずです。もし、あなたが野良犬や捨て犬を見かけたとしましょう。そして、その犬を飼おうと考えたと仮定してください。そこで出会ってしまったのは何かの縁かもしれませんので、飼おうと思うこと自体は良いことと言えるでしょう。
ただし、そこにはいくつか注意すべき点もあります。ここでは、野良犬や捨て犬を保護して飼育する場合の注意点について解説していきますね。
まずは動物病院で健康チェック
家へ連れて帰るのもいいのですが、万が一ノミやダニが寄生していた場合は後々保護したことを後悔してしまう結果にもなりかねません。家へ連れて帰る前に、まずは動物病院で健康診断等を受けた上で、家へ連れ帰るのがベストです。
時間帯等によっては動物病院へ連れていけないこともあるでしょうから、その場合に備えてケージやサークルなどは用意しておきたいところです。
しつけもできていない段階で家の中で自由にさせるのはNG
野良犬であれば人間社会のこともまだよく理解していないでしょうし、子犬であれば尚更のこと、いきなり家へ入れてしまうと逆にストレスにもなりかねません。もちろん、ある程度人間にも慣れていて人懐こいのであればいいのですが、場合によっては敵意剥き出しで威嚇される可能性も否めません。
兎にも角にも、人に慣れていない状態ならある程度慣れるまでは多少距離を置く程度の気遣いも必要でしょう。当然ながらトイレのしつけもできていない状態なので、保護してきてすぐに家の中へ放すのはNGです。
サークルの中へ放すようにしないと、掃除だけでも大変な目に遭ってしまうので注意しましょう。先にも述べたように、寄生虫や病気などに感染しているリスクもあるので、その辺も考慮しておかなければなりません。
動物病院での診断が終わるまでしばしの我慢ということになりますね。動物病院では健康診断のほか、ワクチン接種や避妊or去勢ということも検討する必要があります。
いきなりたくさんの食べ物をあげないこと
野良犬や捨て犬は常にお腹を空かせているような状態です。栄養も失調気味でしょうから、いきなりたくさん食べ物を与えすぎないようにしましょう。お水を与えて、少量のフードなどを与えるようにしてください。
いきなりがっついて食べれば喉に詰まらせてしまう可能性もありますし、胃腸に負担がかかって下痢をしたりすることもあります。少しずつ少しずつ量を増やしていってあげればOKなので、最初は少量からスタートしましょう。
また、最初は警戒してなかなか食べてくれないこともあります。その場合はその場を離れて様子を見るようにしてください。人が見ていなければ自然に食べ始める犬もいます。
逆に、すでに体調が悪いということも考えられます。食べない時は無理に食べさせないようにして、動物病院の診断を仰ぐようにしてください。
迷い犬の可能性もあります!一応関係機関等へは連絡しましょう
野良犬かと思ったら迷い犬だったという可能性もあります。飼い主が必死に探しているかもしれませんので、一応は警察署などにも連絡しておいた方がいいかもしれません。
もし首輪をしているようなら明らかに迷い犬の可能性もありますし、首輪に鑑札が付いていれば確実にどこかで飼われていた犬ということになりますので、早い段階で飼い主の元へ返してあげるのもひとつの方法でしょう。
一度飼うと決めたら決して犬を裏切らないという強い気持ちも必要
犬を保護して飼育すると決めた以上は、決して犬を裏切らないという強い決意が必要です。野良犬になっている、もしくは捨てられているということは、その犬は一度飼い主から裏切られた経験をしているということです。
それは犬にとってとても悲しいことですし、それが原因で人間不信に陥る犬も少なくありません。飼育を途中で放棄しないという強い気持ちを持たなければ、結局はまたその犬が辛い思いをするだけになってしまいます。
しつけも辛抱強く!
当たり前ですが、野良犬や捨て犬はなかなかしつけがしにくいものです。せめてトイレくらいのしつけはしたいところですが、なかなか覚えてくれないことも多々あります。それでも辛抱強く、決して怒らずに対応してあげてください。
人への不信感で、敢えて粗相をしていることもありますし、新しい環境でストレスを感じているかもしれません。そうした原因をひとつずつ払拭していきながら、お互いの距離を縮めるようにしていきましょう。
保護せずに後悔するより保護した方がいい
野良犬や捨て犬を見かけて保護するかどうかというのは、その瞬間はとても悩ましい問題かもしれません。しかし、後になって「保護しとけばよかった」と後悔するよりも、「これも縁だ」と割り切って保護した方がいいに決まっています。
運よく動物愛護団体などに保護されるのであればまだいいのですが、保健所へ引き取られて殺処分される末路を考えれば、保護できる時に保護しておいた方が確実です。
少なくとも縁がなければ出会うことなど決してありませんから、その縁をどのように活かすのかはあなた次第ということになります。
まとめ
保護犬を飼育するのはとても勇気のいることでもあります。事前に計画して飼育するのとは違い、ひとつの命を救うという、とても勇気のある決断と言えるでしょう。
しかし、突発的に飼い始めるということになるわけですから、準備不足という点にも注意しておきたいところです。元々犬を飼育した経験があるならある程度のことは理解済みかもしれませんが、初めて飼育するのが保護犬となるとやはり戸惑うことも多々あるかと思います。
無理をせず、徐々にその犬に合った飼育環境を整えてあげるようにしてください。困ったことがあれば、動物病院でもいいので、相談できる場所を確保しておくのもいいでしょう。