当たり前の話ではありますが、犬も生き物である以上は歳をとります。一般的に15歳程度まで生きると長寿犬の部類に入ると言っていいかもしれません。健康で長生きする犬は20歳近くまで生きることもあります。
15歳といえば人間に当てはめれば「これから青春真っ盛り!」という年代ですが、犬の歳の重ね方と人間の年の重ね方とでは大きな違いがあります。
実は、愛犬の年齢を把握しているのに、その年齢を人間の年齢に換算できない飼い主さんも多いようです。ここでは、犬の年齢と人間の年齢との比較、そして平均寿命についてお話をしていきます。
犬の年齢の重ね方は小型犬や大型犬などにより異なる
犬の歳の取り方はドッグイヤーと呼ばれ、人間よりも7倍以上速いと言われています。そして、同じ犬であっても、小型犬か大型犬かといった犬種の違いによって、1年間に重ねる年齢が異なります。
例えば、10歳という年齢では、小型犬は人間の年齢に換算すると56歳前後、中型犬では還暦前後、大型犬は66歳前後、超大型犬では80歳前後となります。小型犬や中型犬に比べて、大型犬や超大型犬の方が短命だと言われるのはこのためです。
小型犬、中型犬、大型犬、超大型犬それぞれの仔犬が同じ日に産まれたとしても、それぞれに重ねていく年齢はバラバラということですね。
犬の年齢を犬種別に人に換算すると…
犬の年齢 | 小型犬 | 中型犬 | 大型犬 | 超大型犬 |
1歳 | 15歳 | 15歳 | 14歳 | 12歳 |
5歳 | 36歳 | 37歳 | 40歳 | 42歳 |
10歳 | 56歳 | 60歳 | 66歳 | 78歳 |
15歳 | 76歳 | 83歳 | 93歳 | 115歳 |
この表は、犬の年齢1歳~15歳を犬種ごとに『人間の年齢に換算した表』です。これによって犬種(小型犬・中型犬・大型犬・超大型犬)ごとの歳の取り方の違いが分かるかと思います。
区切り良く、1歳・5歳・10歳・15歳で比較してみましたが、2歳くらいまでは小型犬や中型犬の方が年齢の重ね方が早い傾向にあります。
しかし、4歳くらいを境に、大型犬や超大型犬の加齢速度が早くなり、小型犬や中型犬が1年で4歳~5歳ずつ歳を重ねていく一方で、大型犬や超大型犬は5歳~7歳ずつ歳を重ねていきます。
「お隣のチワワは13歳でも若々しいのにうちのゴールデンはもうヨボヨボで…」と感じるのは決して間違いではなく、小型犬と大型犬とでは加齢速度が異なっていることを知れば、むしろ当たり前のことなのだと認識できますよね。
犬の平均寿命は何歳?
犬の飼育をしていると、いつもそこに居るのが当たり前の存在となってきます。そう、愛犬もすっかり、家族としての存在感を発揮していることになりますよね。番犬として犬を飼うという時代とは違って、現在では「犬を飼う=家族を迎える」という考え方が浸透し、愛犬の健康を考える飼い主さんも増えてきています。そのため、フードやおやつなどの充実、獣医学の発達などによって、昔よりも犬の平均寿命も延びてきているそうです。
しかし、犬の寿命は人間よりも遥かに短いというのもよくご存知でしょう。そのため、ほとんどの方は愛犬が高齢になってきてから、「できるだけ長生きしてほしい」と考えるようになります。
一般的に「犬の寿命は15年ほど」とも言われたりしますが、しかし、「15歳」という寿命はあくまでも平均的な数字でしかなく、これは主に小型犬を対象とした平均寿命です。大型犬であればもう少し平均寿命も短くなり、概ね10歳ほどだと言われています。
このように、健康で長生きしたとしてもすべての犬が15歳まで生きられるというわけでもありません。犬種は、小型犬や中型犬、そして大型犬という3つに大別されますが、それぞれに寿命が異なるのです。
しかし、この説ではちょっとざっくりすぎていまいち分かりにくい部分もありますよね?「小型犬はいいけど、じゃあ超小型犬は?」といった疑問も湧くでしょうし、「超大型犬はもっと寿命が短いの?」といった疑問だって湧くでしょう。
そこで、愛犬に長生きしてもらう秘訣を探る前に、超小型犬~超大型犬まで、それぞれの平均寿命をご紹介しておきましょう。
犬種 | 体重 | 平均寿命 |
超小型犬 | 5kg未満 | 13.8歳 |
小型犬 | 5~10kg未満 | 14.2歳 |
中型犬 | 10~20kg未満 | 13.6歳 |
大型犬 | 20~40kg未満 | 12.5歳 |
超大型犬 | 40kg以上 | 10.6歳 |
ここで着目すべきは超小型犬と小型犬の平均寿命です。イメージとしては、体が小さければ小さいほど寿命も長そうな印象がありますが、実際には体の小さな超小型犬よりも、一回り体の大きな小型犬の方が平均寿命は長いという結果が出ています。
さらにこの結果で興味深いのは、超小型犬と中型犬の平均寿命がほぼ同じという点でしょうか。また、巷間言われる「小型犬は15歳、大型犬は10歳」という説からも、大きく逸れていないことが分かりますよね。
これは、ペット保険を展開している企業による調査で、保険金の請求データから算出した結果だそうです。
平均寿命が一番長いのは意外にもあの犬種!あなたの愛犬は何位?
超小型犬~超大型犬までの平均寿命が分かったところで、やはりご自身の愛犬がどのくらいの平均寿命なのか意識してしまいますよね?今回の調査では、犬種ごとの調査結果も公表されています。
平均寿命 | 犬種 |
---|---|
15.1歳 | イタリアン・グレーハウンド |
14.7歳 | トイ・プードル |
14.7歳 | ミニチュア・ダックスフンド |
14.5歳 | 柴犬 |
14.4歳 | パピヨン |
14.3歳 | ジャック・ラッセル・テリア |
14.3歳 | 小型犬以下のMIX |
14.2歳 | ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア |
14.0歳 | カニーンヘン・ダックスフンド |
13.9歳 | 中型犬MIX |
13.8歳 | ヨークシャー・テリア |
13.7歳 | チワワ |
13.6歳 | シー・ズー |
13.6歳 | ミニチュア・ピンシャー |
13.4歳 | ポメラニアン |
13.3歳 | ビーグル |
13.2歳 | ミニチュア・シュナウザー |
13.0歳 | マルチーズ |
12.8歳 | ラブラドール・レトリーバー |
12.8歳 | アメリカン・コッカー・スパニエル |
犬種ごとの上位20傑は以上のようになっています。意外にも、イタグレが1位というのも驚きですね。
MIX犬は寿命がやや長い
昔からなぜか、「スタンダードな犬種(純血種)よりも雑種は強い」と言われています。その理由がどこにあるのか詳しいことは分かりませんが、平均寿命でもスタンダード犬種より雑種犬の方が1年~2年ほど長い傾向にあるようです。
小型犬のMIXであれば13歳~15歳、中型犬のMIXであれば12歳前後、大型犬のMIXで10歳ほどが目安となります。ちなみに、「生存している世界最高齢の犬」としてギネス認定されていた犬は、日本で飼育されていたMIX犬で、26歳と7ヶ月も生きたそうです。
短頭犬種の寿命は短め
同じ小型犬であっても、短頭犬種ともなると寿命がやや短くなります。短頭犬種というのは、パグやペキニーズ、フレンチ・ブルドッグなどのマズルが短い犬種のことで、いわゆる「鼻ペチャ」の犬種ですね。
短頭犬種の場合は遺伝的に鼻腔が狭くて呼吸がしにくい犬種とも知られ、高温多湿という気候にも弱い犬種のため、そうしたことが要因となって短命の傾向にあるのではないかとも言われます。そうした特徴が原因で「飛行機はNG」だというのも、よく知られています。
思わぬ長生きをすることも
犬の寿命は、屋外飼育か室内飼育かによっても変わります。同じ犬種でも、室内飼育の方が長生きする傾向があります。そこには衛生面などの飼育環境もあるでしょうし、気候や気温の変動による影響も室内飼育の方が最小限に抑えることができます。
実際に、チワワやトイ・プードル、マルチーズ、シーズー、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどの小型犬種の中には、23歳~25歳ほどまで生き抜いたという記録も残っています。
長生き=健康であるという考え方
長生きしてほしいという願望は、正確に言えば「いつまでも”健康で”長生きしてほしい」という意味になりますよね?やはり、病気などで健康を損ねた状態で辛い思いをしながら長生きするよりも、健康体で長生きしてほしいと願うのは誰しもが抱く願望でしょう。
そのため、愛犬に長生きしてほしいと願うのであれば、今すぐにでも「いかに健康を保つか」ということに意識を向ける必要があります。人間にも、「健康寿命」という言葉がありますが、やはり、健康寿命をどれだけ伸ばせるかが、長生きの秘訣とも言えるのです。
犬の「老後」はあっという間
犬の加齢速度は人間の比ではありません。たった十数年という短期間で老後を迎え、高齢犬となります。高齢になれば様々な病気のリスクも高まりますし、飼い始めの頃のように外へ連れ出して遊ぶということも難しくなってきます。
これは、言い換えれば、「ぬいぐるみのように愛らしい状態は長くは続かない」ということです。最近ではクリスマスや誕生日などに、犬や猫をプレゼントとして贈る人も増えていますが、こうした安易な飼育はとても危険だということになります。
可愛いからと衝動買い気味に犬を購入しても、その犬が高齢になって面倒を見切れなくなり、最悪な結果へと至ってしまう事例も後を絶ちません。犬の飼育の前には、必ず訪れる「犬の老後」についても、しっかりと理解した上で購入しましょう。
定年後の飼育はよく考える
近年では、老後の寂しさを紛らわすためにペットを購入する人も多いそうです。犬や猫、鳥類などを老後のパートナーにするのも悪いことではないと思いますが、飼育し始めた自分の年齢を考えて飼育しなければいけません。
飼い主が病気で入院してしまったり、場合によってはペットより先に亡くなってしまうこともあり得ないわけではありません。そうなると、ペットが取り残されてしまうという結果にもなりかねませんし、最悪殺処分という結果にも繋がりかねません。
高齢になってから犬の飼育を考えるのであれば、そうしたこともしっかりと熟考を重ねることが大切です。
敢えて飼育しないことを選択するのも愛情のひとつ
飼育しきれず犬を捨ててしまったり、手に負えなくなって殺処分を選択するという結果へと至ってしまうような不安要素がほんの少しでもあるなら、敢えて飼育を諦めるのも犬に対する愛情のひとつだと言えるでしょう。
ペットショップで一目惚れしても、その状態が永遠に続くわけではありません。
ひとつの大切な命を預かるという強い気持ちがなければ、いざ愛犬にもしものことが起こったときに飼育放棄してしまうような「いい加減な飼い主」になってしまう恐れがあります。
愛犬の年齢と健康寿命を考える!長生きしてもらうためにすべきこと
大型犬の場合は、6歳~7歳ほどで高齢犬の域に達しますし、小型犬でも10歳前後からシニアの仲間入りです。いつまでも愛らしいままの子犬だと思っていても、我々人間が想像しているよりも早く、犬の老化は進行してしまいます。
1日でも長く愛犬と過ごすためには、シニア世代に突入する前から飼育環境や食生活に気を使ってあげることが大切です。さて、ではここからは愛犬に長生きしてもらうための重要ポイントについて探っていきましょう。
まず、先にもお話したとおり、長生きのためには健康であることが第一となります。
疾病に対する注意を怠らないこと
犬の死因の第一位が腫瘍によるもの、第二位が呼吸器系疾患、第三位が泌尿器系疾患、第四位が消化器系疾患、第五位が肝胆道系疾患となっています。恐らく、長年犬の飼育をされてきた方であればお気づきになるかと思いますが、これらは犬を飼育していれば結構身近な疾患でもあります。
特に、高齢になればこうした疾患を患いやすくなりますので、何よりも普段からの健康診断なども重要なポイントとなってくるでしょう。対処が早ければ病気の進行も十分に抑えることが可能ですので、飼い主の日頃の心掛けが大きく明暗を分ける結果ともなります。
ストレス軽減対策
特に高齢犬ともなれば、やはりストレスをいかに軽減させてあげられるかが健康寿命を左右します。運動や飼育環境の快適さなどなど、ストレスとなり得る要因は多岐に渡ります。常に飼い主が意識して、いかにストレスフリーの状態にしてあげられるかが問われます。
食事に気を配る
普段、どのようなフードを愛犬に与えているかによっても、健康寿命の長短を決定付けます。「犬なんだから何でもいい」「安い方がお得だから」といった考えでは、健康寿命を考える資格はありません。
たしかに、お金をかけることがすべてではありませんが、それでも、結果的にどれだけ手をかけてあげられたのかは、「どれだけケチケチせずに対処できたか?」ということに繋がります。
セレブのように、高級な服を着せて高級なおもちゃを与え、専用の部屋で飼育し、高額なトリミングサロンへ通い――といったことを真似しろと言っているわけではありません。それらはお金の有り余っている人がやる道楽のようなもので、犬自身が本当に幸せなのかといえば、疑問符が付くくらいです。
そういうことではなく、せめて普段与えるフードくらいには、惜しまず投資してほしいのです。安いフードにはそれなりの理由があるからこそ、その価格で販売できるのです。お得というだけでそれ以上のメリットはありません。
犬の年齢と平均寿命まとめ
人間の長寿命化と同じ様に、犬の寿命もまた年々延び続けている傾向にあります。犬をパートナーとして認識する人が増え、飼育環境が昔に比べて格段に改善されてきていることもその理由です。
また、高品質なドッグフードなどの普及も重なっていることも大きく影響していると言われています。常に愛犬の年齢を把握しておき、その年齢に合わせて飼育環境やドッグフードを変えていってあげることも飼い主の努めと言えそうですね。
例えパピーであろうと高齢犬であろうと、飼い主に対して一心に信頼を寄せてくれることには変わりありません。そんな純粋な気持ちにいつまでも応え続けてあげられる飼い主でありたいものです。
健康寿命を延ばすために
愛犬の健康寿命を考える場合、少なくも「疾病・ストレス・食事」この3つの対策は絶対に意識しておきたいものです。もちろん疾病に対する注意には、ワクチン接種やトリミング等も含まれます。衛生管理にも気を配ることで、感染症などの病気予防にもなります。
3つに共通するのは、「防げるものは防ぐ!」ということ。これが健康寿命に欠かせない3大要素となります。犬の多くは、残念ながら病気によって命を落としてしまいます。
もちろん、親犬同士の掛け合わせの影響で遺伝的な疾患を持って生まれていてしまえば、平均的な寿命よりも短い天寿となってしまいます。しかし一方で、獣医学の発達やフードの進歩などによって、健康な状態であれば十分に長生きできる環境も整いつつあるのも事実です。
理想は、愛犬が健康なまま天寿を全うすること。そのためには飼い主が常日頃から愛犬の健康に目を配ってあげる必要があります。犬も人間の子供と同じで、親が手をかけてあげなければ、その寿命も短命に終わってしまいます。
特に、運動や食生活への配慮は欠かせません。そこも人間と何ら変わりないわけですね。人間にも睡眠と運動、そして栄養バランスが欠かせないように、犬にとってもそれらは欠かせないもの。愛犬が1日でも長く生きていられるように、まずは愛犬との日常をしっかりと見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。