近年では、愛犬に手作りご飯を与える人も増えてきました。犬の手作りご飯に特化したレシピ本はもちろん、ちょっとネット検索しただけで犬の手作りご飯のレシピを手に入れることができます。
ここでは、「なぜ今犬の手作りご飯が注目されているのか?」「手作りご飯を作る際のポイント」などについてお話ししていきます。
愛犬にわざわざ手作りフードを与えるのはなぜ?手作りご飯のメリットとは?
愛犬に手作りご飯を与えることは大変ですし、手間がかかります。しかし、その手間をかけただけのメリットが得られます。
ではまず、素朴な疑問から。そもそも、なぜ犬の手作りご飯が注目されているのでしょうか?そして、なぜドッグフードではなく手作りご飯なのでしょうか?
材料の安全性
ご飯を手作りするということは、人が食べる食材を使うかと思います。この時点で『ヒューマングレード』です。
飼い主さんは、食材を選ぶ段階において、添加物や防腐剤の入っていない食材(肉や魚)に加え、犬に必要なだけの穀物を選ぶでしょう。このように食材を揃えることで愛犬の食べ物の安全性を確かなものにしているのです。飼い主さんだからできることですよね。
栄養管理
愛犬に必要な栄養を摂らせることは当然ですが、手作りご飯なら加減を調節することが可能になります。肥満気味なのであれば、糖質や炭水化物を減らして、代わりにビタミン類や繊維質の食材、タンパク質などを増やすようにするなどの方法を取ることができます。
既製のドッグフードであれば、量を減らすだけしかできません。それでは愛犬が1回の食事量に満足できず、食べ物を探すようになってしまうなどが考えられます。
ドッグフードではアレルギーに対処できない
最近では、犬のアレルギーがとても深刻化しているという現状があります。もちろん、ペットブームという影響もあり、犬の飼育数が増加しているため、昔と今とを比較することは難しいのですが、それでも、犬のアレルギーに悩む飼い主が多いのは事実です。
このアレルギーの原因も様々ですが、実はペットフードが原因になっているケースも非常に多く、そのため、飼い主自らが手作りして犬に与えているケースが増えてきているのです。
酸化速度の早い油脂が塗られていたりするドッグフードもたくさんありますし、精肉の際に不要になった部位の肉が多く使われているドッグフードもたくさんあります。
もちろん、添加物や化学物質などが含有されているドッグフードも多く、こうしたものが原因でアレルギー症状を引き起こす犬が増加しているのです。
中には添加物が完全無添加というものもありますが、実際の栄養バランスもあまり良いとは言えない状況で、犬の主食としての意味すら危ういのです。そのため、粗悪なペットフード問題や愛犬のアレルギーに悩む愛犬家の多くが、ヨーロッパなどペット先進国の厳しい基準の下で作られているペットフードを購入したり、手作りご飯を与えたりしているのです。
飼い主が食の安全を守る!
最近では、「食の安全」というキーワードに対する関心も高まっていますが、それは人間だけではなく、犬にとっても言えるようになってきています。
何が含まれているのか分からないような粗悪なドッグフードではなく、飼い主自身が安全な食材をチョイスして手作りするようにすれば、少なくとも犬の食の安全を守ることができます。
また、手作りご飯であれば、場合によってはドッグフードを購入するよりも安価に抑えることもできます。
栄養が偏りにくい
基本的に、犬にもっとも理想的な食事はドッグフードであるはずなのですが、国内のドッグフード事情を考えると、それも少々不安であるのもまた事実です。それなら、飼い主の手作りご飯で、バランスよく栄養を摂取させてあげた方が確実ですよね?
アレルギーになりにくい馬肉や鹿肉などを使用すれば、動物性タンパク質も問題ありませんし、それに野菜などをトッピングしてあげることで栄養バランスを整えることができます。さらに、水分量が極端に少ないドッグフードよりも、手作りご飯の方が食事と一緒に適度な水分も接種することができます。
これまで排泄に時間のかかっていた犬が、手作りご飯を食べるようになったらスムーズに排泄が促されるようになったという報告もあります。犬は本当に喉が渇いたときしか水を飲みませんから、手作りの食事で一緒に適度な水分補給ができればありがたいですね。
犬の手作りご飯のデメリット
手作りご飯にはメリットもありますが、デメリットもあります。ここはしっかりおさえておいた方が良いところです。
栄養学の知識が必要
人間が食べるには問題ないが、犬は食べてはいけない食材があります。中毒が出てしまう物などを知らずに与えてしまえば、愛犬の寿命を縮めてしまうことになるため、最低限の栄養学の知識は必要です。
今は手作りご飯の本もたくさん出ていますし、ネットでもレシピを紹介しているところもあります。愛犬に作ってあげる前に最低限は身につけなければなりません。これは愛犬の健康を守るためです。
非常時にドックフードを食べないことも
災害時など、飼い主さんが手作りご飯を与えられないことが出てくる場合があります。そんな時にドッグフードを食べてくれないことが予想されます。
震災のときは、友人の犬がドッグフードを食べないので困ったと話していました。旅行や急病のときなどもこのような状態になってしまうことが考えられます。
いざという時に困らないように、時々与えてみることも大切です。いつ何時困る事態が起こるかわかりません。「手作りご飯以外食べない」という状態にならないように少し慣らしを入れることも大切です。
お腹がゆるくなる
最初から手作りご飯の子は問題ないのですが、ドッグフードから手作りご飯に変えてすぐは、お腹がゆるくなってしまうことがあります。食べ物が違うのですからそういうことが起こっても不思議ではありません。便の状態はしっかり見ておきましょう。生まれつきお腹が弱いこの場合は、特に注意が必要です。
お腹のことを考えたら、段階を踏むことがポイントとなるでしょう。ドッグフードからすぐ手作りご飯ではなく、ドッグフードの量を減らして減らした分を手作りご飯にしていくというように段階を踏みます。
最初は1/4程度の手作りご飯で様子を見て、体調や便の状態を確認してから、徐々に手作りご飯を増やしていくようにします。急に増やすようなことはしないで、ゆっくり愛犬の体調に合わせていきましょう。
手作りご飯の注意点
手作りご飯を作る上で注意すべき点としては以下です。
- 塩や砂糖などの調味料は使わないこと
- 牛肉や鶏肉などがアレルゲンとなっている場合もあるので使う肉には注意
- 犬に与えてもいい食材と与えてはいけない食材を事前に確認しておくこと
- 食後はなるべく歯磨きを習慣付けること
- 与える量は獣医やペット栄養管理士などに相談しておくこと
- 不足しがちだと思われる栄養素はサプリメントを併用する
- 多めに作ったときは保存方法に注意する
基本的に、犬は食材のニオイだけで食べられるかどうかを判断するので、調味料は必要ありません。人間が食べて、「何これ!味しないじゃん!」という状態でも、犬にとってはニオイの方が重要なのです。したがって、調味料でわざわざ味を調える必要はありません。
また、肉を与える際には、その肉に対してアレルギーを持っているかどうかを確認しておくことも重要です。肉を与えるのであれば、先述したように馬肉や鹿肉を与えるようにしましょう。馬肉はお肉屋さんでペット用に分けて販売してくれているところもあります。
また最近ではジビエといって、増えすぎて駆除した鹿肉を地場産業にしている地域も増えています。そうした地域では、鹿肉の販売も積極的に行っていますし、ペット用に販売してくれているお肉屋さんもあります。
ペット用の馬肉や鹿肉を扱っているお肉屋さんであれば遠距離でも通販に対応してくれる場合もあります。愛犬の手作りご飯にこだわってみたい方は、ぜひ全国のお肉屋さんをチェックしてみましょう。
さらに、ドライフードと違って、手作りご飯は犬の歯にも付着物が残りやすいですから、虫歯予防のために歯磨きも習慣付けておきましょう。また、たまには硬いものを与えたり、おもちゃなどで遊ばせたりして、噛む力が衰えないようにすることも必要です。
手作りご飯は保存料完全無添加ですから、傷まないように保存バッグやタッパーなどでしっかり密閉して、冷凍保存するなどしましょう。
犬の手作りご飯まとめ
犬の手作りご飯も、結構手間がかかりそうなイメージですが、実際に手作りご飯を実践している人に言わせると、「そんなに手間を感じない」という意見も多いです。
これは単に、「愛犬を大事に考えているからこそ」の意見とも言えそうですが、自分の作った手作りご飯を美味しそうに食べてくれる愛犬を見ていると、きっと飼い主も一緒に幸せを感じられるからかもしれませんね。
現在では、犬の手作りご飯を手軽に通販で購入できるようにもなっています。実際、テレビなどでそうした企業が取材されたりもしていますから、将来的には飼い主が手作りしなくても気軽に手作りご飯を購入できる時代が訪れるかもしれませんね。
もちろん、それと並行して、安全できるドッグフードが店頭に並ぶ日が来ることも祈らずにはいられません。
なお、手作りご飯を簡単に再現したドッグフードも登場しましたので、こういったものも便利に活用できます。