犬を飼ったことのある人なら、恐らく一度は多頭飼いについて考えたことがあるのではないでしょうか。街を歩いていると、トイプードルを何匹も連れて散歩しているマダムを見掛けたりしますよね。多頭飼いというのは、文字どおり2頭以上の犬を飼うという意味です。
最初は1匹だけで飼育を始めたものの、1匹では何となく可哀想に思えてしまい、新たに犬を迎え入れることを考える人もいるでしょう。逆に、飼う前から、「飼うなら2匹以上で飼いたい!」と考える人もいるかもしれませんね。どちらにせよ、多頭飼いにはメリットもあればデメリットもあります。
先住犬がいる場合
最初は1匹で飼育をスタートした場合は、多頭飼いへ移行するには十分な注意が必要です。よくご存知だと思いますが、犬にとって飼い主に愛情を注がれることはこの上ない幸せな時間です。
新しく犬を迎え入れるということは、先住犬にとっては大きなストレスを抱えてしまう可能性もあります。なぜなら、新しい犬を迎えれば、飼い主の愛情もそちらに注がれることになるからです。
逆に、新たに迎え入れる犬にしても、先住犬との相性という部分も大切な要素となります。ストレスで先住犬が体調を崩すこともありますし、迎え入れた犬が先住犬に馴染めなかったり、先住犬にいじめられてしまうことも考えられます。
「犬同士だから大丈夫」ということはありません。ましてや先住犬にしてみたら、自分のファミリー(群れ)の中に新参者がやってくるわけですから、それだけでストレスになり得ますし、場合によっては敵意すら見せることがあります。
新たに犬を迎え入れる際には、そうしたことがあるということを念頭に迎え入れる必要があるでしょう。もちろん、その生活に慣れてしまえば何事も無かったように過ごすようになるはずですが、先住犬が高齢なのに活発な子犬を迎え入れるといったようなことは避けた方がおすすめです。
多頭飼いにもメリットはあります!
1頭だけで飼育していると、どうしてもその犬だけに愛情が向いてしまうため、いわゆる『溺愛状態』となりやすくなります。溺愛状態が続くとどうなるか――?これはもはや言わずもがなですが、飼い主と飼い犬というバランスが崩れてしまうことになります。
そうなると、飼い主にとっても飼い犬にとってもデメリットしか残りません。飼い主の言うことを聞かずにしつけの難しい犬になってしまいますし、飼い主としてのモラルも疑われます。また、甘やかしすぎることで犬の健康を害してしまう結果にもなりかねません(おやつの与え過ぎなど)。
しかし、多頭飼いをすると、犬に向ける愛情も適度に分散されるため、飼い主と飼い犬というバランスを保つことが容易になります。
さらに、先住犬がいる場合は、新しく迎え入れた犬が先住犬に倣って学習するため、しつけもしやすいというメリットがあります。
多頭飼いするなら犬の体高にも注意!
これも大事なポイントになりますが、例えば、超小型犬を飼っているのに、新たに超大型犬を迎え入れるなど、先住犬と新入犬との体高差に大きな違いが生じることのないようにしたいものです。
犬の大きさに違いがあると、例えば大きな犬が小さい犬を噛んで怪我させてしまい、最悪の場合、命に関わるケースもあります。
色々な犬を飼ってみたいという願望もあるかもしれませんが、多頭飼いするならなるべく体の大きさが同じくらいの犬種を選びましょう。
1頭飼いと多頭飼いでは予算も倍に!
飼育する数が増えれば、当たり前の話ですが飼育費用もかさんできます。多頭飼いの結果、飼育にかかる費用が家計を圧迫し、結果的に犬を手放してしまうようなことになっては本末転倒です。手放す側にも理由はあるかもしれませんが、どのような理由であれ犬に対しての裏切りであることに変わりはありません。
少々厳しい言い方になってしまいますが、「できないことは最初からしない」のが一番です。1匹だけの飼育で現状が満足ならそれでいいでしょうし、家計が苦しいのに無理して新たに飼育する必要などどこにもありません。
多頭飼いを考えるのであれば、相応の余裕があると判断した上で決断しましょう。フード代、ペットシーツ代、トリミング代、動物病院代などなど。多頭飼いをするのにどれだけの費用差があるのかをしっかりと吟味しておきましょう。
犬のストレス発散に多頭飼いは有効?
これはケースバイケースですが、多頭飼いすることで犬同士で遊んでくれるため、それ自体が犬のストレス発散に役立つこともあります。
また、犬は本来群れで生活をしていた動物ですから、留守番なども1匹より2匹以上の方がストレスも軽くて済みます。もちろん、ケースバイケースであると言ったのには理由があります。それは、先にも述べたとおり、犬同士の相性という問題ですね。
体のサイズが違いすぎたり、新入犬に対して先住犬が警戒心を抱きすぎていたり、先住犬が新入犬をいじめたりということも無きにしも非ずです。
また、先住犬が新入犬をいじめているように見えても、実は教育してくれていることもあります。もちろん、そのためには先住犬をしっかりとしつけしておくことも必要ですが、教育しているのか?それともいじめなのか?という見極めができなければ多頭飼いには向いていない飼い主となってしまいます。
多頭飼いに踏み切るなら、そうしたことも踏まえて総合的な決断が求められます。ただし、例外もあります。それは、最初に犬を飼う段階から多頭飼いをする場合です。この場合は、比較的犬同士の関係も良好に保たれる可能性が高いです。
もちろん、成犬になったときのことも考えて、同じサイズの犬種を飼っておいた方がいいことは言うまでもありません。
犬の多頭飼いまとめ
最後に、多頭飼いでもっとも注意したいポイントを挙げておきますね。多頭飼いにおいてもっとも注意したいのが『愛情の偏り』です。多頭飼いをするなら均等に愛情を注ぐ必要があります。一方の犬とはスキンシップを図るのに、もう一方はほったらかしというのはいただけません。
犬の幸せは飼い主に愛情を注がれることであり、それに勝る幸せはありません。1匹だけの飼育であれ、多頭飼いであれ、飼い主がすべき基本的なことはしっかりとスキンシップをとってあげることです。それだけはしっかりと心にとどめておきたいものですね。
また、多頭飼いにはキャリーカートが必須ですので、こちらの記事も参考にしてみて下さい。