犬は活発であるため、散歩などのときに怪我をしてしまうことがよくあります。かすり傷程度であれば、飼い主としてもさほど心配はしないですが、それなりの怪我や骨折だったりすると応急処置をどのようにすればいいかなど、不安になってしまうこともあるかと思います。
そんな時のために、怪我や骨折の応急処置のことを知識として蓄えておきましょう。
愛犬が怪我をしたときの応急処置
犬は、散歩中だけでなく家の中にいても怪我をすることがあります。飼い主が側にいるときでも予期せぬ怪我を負ってしまうことがありますので、あらかじめ応急処置ができるようにしましょう。
怪我の患部を見つける
見てわかる量の出血を伴う場合は、意外と見つけやすいです。少量の出血だと、犬の歩行具合の様子やしょっちゅう舐めているなどの行為が行われているなどで、飼い主が気づくというパターンが多いかもしれません。
私も愛犬が出血を伴う怪我をしていたときに、気づくことができたのは愛犬のしょっちゅう舐めている姿でした。いつも以上に舐めているため、「何かおかしいな?」と舐めている部分を見たのです。そしたら、切り傷がありました。
肉球の付近だと歩く度に血が付きますので気がつきやすいのですが、毛の量が多い犬だと、毛をかき分けて傷を見つけないといけません。毛が長くてなかなか見えないという場合は、その部分の毛をカットしてしっかり傷を確認できるようにします。
愛犬が嫌がるときは…
傷を見つけるまでは、どの程度の怪我かはわかりません。だから、必ず見つけるようにします。患部に近づくにつれ、犬が嫌がったり触らせないようにしようとして「ウ~」と低い声でうなったりすることがあります。(経験済み)
そんな時は、愛犬に「傷を治してあげるからね」や「ちょっと見せてね、大丈夫だよ」と安心する言葉をかけて、頭などを撫でてあげると治まります。
怪我の程度をチェック
患部を見るまでは、どうなっているかなんてことはわかりませんよね。もしかしたら、ガラスが刺さっていることもあるかもしれませんし、草で切った程度の傷かもしれません。だから、怪我の程度を見極めます。
かすり傷
少しすったような傷や出血量の少ない小さい切り傷であった場合は、ちょっと応急処置をするだけで自然治癒に導くことができます。だから、急いで動物病院へ駆け込むということは必要ないでしょう。ただし、他の犬からの噛み傷である場合は、獣医に相談してから受診します。
怪我の場合は、患部に砂などが入っていないか、トゲなどが刺さっていないかを確認します。入っている場合は、化膿してしまう原因となりますので取り除きましょう。
その後は、
- 水で洗い流す
- ガーゼなどで傷の周りをしっかり拭く
- 犬用の消毒液をつけてあげる
かすり傷の場合は、これだけで十分です。ただ、消毒した箇所をすぐに舐めてしまっては困りますので、エリザベスカラーをつけましょう。
軽度
出血が患部付近だけで、現在は止まっているような状態であれば、念のため動物病院へ行った方がいいです。今は出血が止まっているように見えても内出血を引き起こしていたり、傷の中に異物が混じっていたりすることも可能性として考えられるからです。清潔なガーゼを患部に当てて、ぐるりと包帯を巻きましょう。それから病院へ向かいます。
どのようなところで怪我をしたのかがわかれば、そのことも獣医に話しましょう。
重度及び出血がひどい場合
出血が止まっていない場合は、急いで動物病院へ連れて行きます。この場合は、ガーゼでは足りませんので清潔なタオルで患部を押さえてください。どのような状況で怪我をしたのかは大切な情報ですので、獣医にしっかり伝えます。
出血量が多いと愛犬もぐったりしてきますので、飼い主はオロオロして落ち着きをなくしてしまうかと思います。しかし、飼い主が気をしっかり持っていないと、愛犬も安心できませんので、飼い主は、冷静に対処することが必要です。
傷口を舐める行為に注意!
犬などの動物は、傷口を舐めて治そうとする習性があります。本能的に体が動いてしまうのです。しかし、繰り返し舐めてしまうと、雑菌が入り込んでしまうことが往々にしてあります。そうすれば、軽い傷であったとしても皮膚の状態が悪化したり、皮がむけてしまったりといったこともあります。
また、足などの傷口を舐める癖がついてしまった場合は、毛が抜けてしまう(いわゆる脱毛)ことにもなりますので、愛犬の舐める行為に注意しておかなくてはなりません。
動物病院を受診して怪我の手当をしてもらったら、エリザベスカラーをつけられます。患部を舐めないようにするためのものです。自宅にも1つ用意しておくと、すり傷などの比較的軽い怪我の時にも使うことができます。
人間用の消毒液を使ってもよいか?
怪我をしたときは消毒をしますよね。犬には犬用の消毒液が売られていますのでそちらを使います。
ない時は人間用の消毒液を使えばいいという人もいるでしょう。その場合はあくまでも代用品と考えます。人間用の消毒液を使う場合は、薄めた物をコットンに浸して使うようにしましょう。その後、動物病院を受診する場合は、人間用の消毒液を薄めて使ったことを伝えましょう。
傷や皮膚には常に細菌がいます。それに消毒液を使ったからといって無菌にはなりません。一時的に菌を減少させるだけで、すぐに元に戻ってしまいます。(かかりつけ獣医談)私は、獣医からそのように指導を受けました。(愛犬の怪我時)ですから、そのことを理解した上で、消毒薬を使うようにしましょう。
かかりつけの獣医の先生から消毒液のことなどは、定期検診の時などに話を聞いておくと、いざという時に心強いと思います。
傷口を化膿させないために
傷口にばい菌が入ってしまうと、化膿して膿が出たり、受診しなければならなくなったりすることになります。それだけは避けたいですよね。治療を受けた傷に関しては、獣医の指示通りにすることが大切です。(服薬等がある場合ならなおさらですし、手術後はしっかりケアが必要です!)
病院にかからなくてもいいようなかすり傷や軽度の怪我の場合は、特に注意が必要になります。応急処置をした後に、そのまま放置してしまうということがあるためです。しかも愛犬が傷口を舐めてしまうことが続く場合、傷口からばい菌が入ってしまうことが避けられません。
化膿させないようにするためには、
- 傷口を舐めさせないこと(皮膚の周りも清潔にしておく)
- 傷を乾燥させておくこと(湿った状態が続くのはよくありません)
この2点が大切ではないかと考えています。私が飼っていた秋田犬が怪我をしてきたときも舐めないようにエリザベスカラーをつけていましたし、傷が乾きやすいように怪我をした箇所の周りの毛を切って風通しを良くしたりしました。
化膿したかどうかは、傷の状態とニオイでわかります。3日ほど経っても患部の腫れが引かず、腐ったようなニオイがしてきます。これらが見られたら、動物病院へ受診することをおすすめします。
愛犬がこんな症状をみせたら骨折に要注意!
愛犬が骨折してしまうなんてことが起こったら、慌てふためいてしまうことでしょう。ですから、その時の症状や骨折した原因、予防措置、万が一の時の応急処置など、必要なことを知っておくととても役に立ちます。治療費に関しても、ペット保険に加入するかどうするかの判断にもなると思います。
ここで犬の骨折についての知識を一読しておくといいかもしれません。
骨折にも完全に折れてしまっている状態もあれば、疲労骨折のようなものもありますので、一見しただけでは判断をしかねるでしょう。骨に何らかの異常があるときの症状をみていきましょう。
歩き方がおかしい
愛犬が、いつもと違う歩き方をしていたら、ケガや骨折を疑いましょう。びっこをひく・前足をかばう・足を地面に付けないなど。
足の状態が変
足が曲がった状態だったり、足の一部分が腫れてしまったりしているような場合も、骨折か他の病気が疑われます。また、不自然に曲がっているなど。
じっとして動かない
名前を呼んでも来なかったり、床の上にうずくまったままでいたりするような場合、歩けないくらい痛い状態かもしれません。足を舐めていることもあります。
排尿便がうまくできない
脊髄の損傷がある場合、排尿便のコントロールがうまくできなくなります。
いずれの場合もいつもの元気なときとはかなり違うはずです。動物病院への受診をする必要があります。
骨折の応急処置
「もしかして、骨折したかも!」という場合、すぐに動物病院へ受診をしますが、その前に、応急処置をしていくことで、愛犬を楽にさせてあげることができます。
ただし、犬が興奮していないとき限定です。そうしないと、飼い主がケガをしてしまいますからね。(主に噛まれてしまいます。著者経験あり!)
- 骨折しているかもしれない箇所にガーゼを巻きます。
- それから、副木を当ててガーゼを挟むように、タオルや包帯などを使って巻きます。
- 取れてしまわないようにテープなどで一時的に留めます。
犬が患部に触るのを嫌がる場合は、大きめのバスタオルなどで犬をくるんでください。動かないようにしたら、そのまま抱きかかえるなどして、動物病院に連れて行きます。
怪我以外でも骨折することがある?
犬が骨折してしまう原因は、いろいろ考えられます。外傷が原因で起こる骨折と、病気が原因で起こってしまう骨折などです。最初に地に着ける足が前足であることから、外傷が原因で起こる骨折は前足であることが多いようです。
また、肥満が原因となって、骨折しやすくなることもあります。発達途中の体を支える骨が、肥満によって体を支えることが難しくなり骨折を引き起こしてしまうこともあるのです。
骨折の種類
骨折には、大きく分けて5つの種類がありますので、紹介しておきます。
- 疲労骨折:同じ部分に繰り返し力がかかり、骨折に近いような状態になってしまうもの
- 亀裂骨折:骨にヒビが入ってしまった状態です。完全に折れてはいません。
- 圧迫骨折:椎骨の不具合(外傷や椎骨の弱りなど)で起こってしまう骨折です。
- 剥離骨折:筋肉や腱、靭帯などが通常よりも引っ張られることで付近の骨が引き裂かれて生じる骨折です。
- 成長板骨折:骨幹端の成長板という部位の骨折です。他の骨より弱いため、折れやすいのです。(成長期の子犬に多いです。)
骨折の種類はたくさんありますが、折れ方によって治療方法が異なってきます。
- 単純骨折:ただパキッと折れた状態(くっつきやすいです。)
- 複雑骨折:骨が複雑に折れた状態(骨がずれないように固定しなければなりません。)
- 粉砕骨折:名前の通り骨が砕けてしまった状態(修復が非常に難しいです。)
外傷性骨折の原因
外傷性骨折とは、犬の骨に強い力が加わったときに起こる骨折です。次のようなことが原因で起こります。
- 交通事故
- 階段などの段差からの落下
- 強度な打撲
- 抱っこ時に落下
- 犬同士の喧嘩(小型犬などに多く見られるようです。)
などです。
病気が原因の骨折
愛犬が次のような病気にかかっている場合、合併症や栄養不足などが関わってきて骨折してしまうことがあります。
- くる病(骨軟化症)
- 骨腫瘍(原発性骨腫瘍)
- 骨感染症
- 栄養障害
などです。
骨折を起こしやすい犬種
骨折を起こしやすいといわれている犬種がいます。小型犬に多いのではないかと考える人もいるでしょうが、小型犬ばかりではありません。
- ポメラニアン
- チワワ
- マルチーズ
- イタリアン・グレーハウンド
- ボルゾイ
- サルーキ
- アイリッシュ・セター
- 甲斐犬
- トイ・プードル
- ミニチュア・ピンシャー
- パピヨン
などが、骨折を起こしやすい犬種と言われています。
犬の骨折は予防できるか?
犬は、交通事故を起こしてしまうことがあります。骨折の原因としては第1位です。犬が飛び出さないようにしなければいけません。しつけの徹底も大切ですし、あらかじめリードを短く持つなどして交通事故に遭わないように工夫が必要です。
突発的に飛びかかってしまうことがあります。犬同士のケンカだけでなく、自転車やバイクといった動くものに飛びついてしまうのです。犬は元々、狩猟をしていた動物ですから今も狩猟本能が残っているのでしょう。
私の家で飼っていた秋田犬も、弟が自転車に乗って帰ってきた時に、突然飛びかかったことがありました。犬にとっては、うれしかった気持ちが強かったように感じましたが、弟の自転車のタイヤに前足を挟んでしまいました。
幸い、骨折はしませんでしたが、気をつけなければならないと思った事案でした。
子犬時から肥満にしないことも骨折予防になります。肥満になると、骨の発達を遅らせてしまいます。ちょっと高い所から前足をついただけで骨折!なんてことになったらかわいそうですからね。
飼い主のうっかりでも骨折を引き起こしてしまうことがあります。抱っこの時に落としてしまったり、ドアに挟んでしまったり、足やしっぽを踏んでしまったりなんていう些細なことでも骨折してしまうことがあるので注意しましょう。
ちょっと気をつければ、骨折というかわいそうな状態を予防することができるのではないかと思います。
犬の骨折の治療費について
骨折の度合いにもよりますが、入院や手術が入ってくるだけで治療費は大きく変わってきます。軽症の場合は、ギブスを使って固定して治療を行います。重症の場合は、手術が必要になってきます。そうなれば、入院もセットで組まれるでしょう。また、固定にはピンやプレートを使います。
手術・入院が済んだ後も、通院してピンやプレートを取ったりしなければいけませんし、リハビリなどもあります。そうなれば、50万円程度はかかるでしょう。
治療期間は、2~3ヶ月程度です。ただし、症状によっては半年以上かかって完治という場合もあるようです。
ペット保険などに加入していれば、金額が戻ってきますが、未加入の場合は、かなりかかることだけは覚えておきましょう。
まとめ
愛犬が怪我をして出血!なんてことになったら、本当にビックリしますし、オロオロしてしまいますよね。私もそうだったからよくわかります。しかし、飼い主が冷静でいないと、怪我をした愛犬はもっと不安になってしまうのです。その辺に注意をして、冷静に怪我の状態を見て応急処置を施してあげましょう。
自分では判断できないと思った時は、獣医に相談することもできます。愛犬の立場になって対処をしてあげて欲しいと思います。
特に愛犬の骨折は、犬も痛いでしょうが、飼い主も心に相当ダメージを負います。ですから、骨折しないように原因となるものから守ってあげることが大切です。できるだけ、骨折予防になるよう、しつけや安全確認、肥満にさせないなどに注意しておきましょう。
特に交通事故、飼い主のちょっとしたミスは、少しの注意で回避することができます。愛犬が痛い思いをしなくて済むように守ってあげましょう!