犬アレルギーという言葉も、今ではすっかり定着した感があります。
犬だけに限らず、動物が好きでもアレルギーや喘息を持っているために飼育を諦めざるを得ないという人もずいぶん多いようです。
この犬アレルギーですが、実は、犬アレルギーという言葉ばかりが独り歩きしてしまい、その本質について知っている人は意外と多くありません。
ここでは犬アレルギーについて解説すると共に、そもそも犬アレルギーは治るものなのか?ということまで踏まえて解説していきます。
犬アレルギーが引き起こされる仕組みも他のアレルギーと同様です
その名前に「アレルギー」と付いているように、犬アレルギーが引き起こされる仕組みも一般的に知られているアレルギーと同じです。
つまり、体内に侵入した異物に対して、免疫が過剰に反応(暴走)してしまうことで粘液などが炎症を起こし、アレルギー反応が引き起こされます。
アレルギーはアレルゲンによってもたらされる症状です。アレルゲンというのはアレルギーの原因となる物質のことですね。
良く知られている代表的なアレルゲンで言えば、ダニの死骸・卵・糞などから構成されるハウスダスト、そして春に飛散するスギやヒノキの花粉、秋のブタクサやイネの花粉などが有名です。
また、食物ですと、小麦粉や卵、乳製品などによるアレルギーも知られていますよね。アレルギーは誰でも発症するわけではなく、各個人によってアレルゲンも異なります。
もちろん、生涯に渡ってまったくアレルギー反応を起こさない人もいます。
犬アレルギーの原因は毛ではありません!
犬アレルギーの場合、「犬の毛がアレルギーの原因」とも言われています。そのため、アレルギーを持っている人は、抜け毛の少ない犬種を飼育するのがいいとも言われますよね。
しかし、そこには重大な誤解も含まれているのです。犬アレルギーというのは、犬の毛そのものが原因となっているわけではないのです。
詳しく言うと、犬の毛やフケなどに付着している微細な物質がアレルゲンとなり、その物質は犬の唾液にも含まれています。つまり、抜け毛が多かろうが少なかろうが、必ずどんな犬にもこの物質が付着していることになるわけですね。
結論から言えば、抜け毛の少ない犬種を飼育したところで、犬アレルギーの予防に対して効果はないことになります。
さらに、猫やネズミ、ゴキブリ、牛や馬なども、こうした物質と良く似た物質を持っています。犬アレルギーを持っている人は、こうした様々な動物によってもアレルギーを引き起こされる可能性があるわけです。
ここ日本でも、犬アレルギーの症状が出にくい犬種として、様々な犬種が取り沙汰されていますが、それらはすべて、アメリカン・ケネルクラブ(AKC)が「この犬種はアレルギーでも大丈夫ですよ」と、喧伝している犬種だと云われます。
しかし実は、そこに医学的な根拠はまったくなく、ある研究によれば、どのような犬種でもアレルゲンレベルには大差ないという結果も出されています。
ペットショップで、「この子は抜け毛が少なくてアレルギーにも安心ですよ♪」と勧められた場合、それは嘘ということになります。
根拠のない宣伝文句に惑わされることのないようにしましょう。
喘息は犬アレルギーが原因?
喘息と一括りに言ってはいますが、その原因には大きく分けると2種類あります。ひとつはアレルゲンによって引き起こされるアレルギー性喘息と、それ以外の原因で引き起こされる喘息です。
アレルギー性喘息の場合、ハウスダストやカビ、花粉、それに犬アレルギーの元となっている物質などがアレルゲンとなります。
アレルギーが原因でない喘息は、季節の変わり目などの免疫力が下がりやすい時期や、排気ガス、タバコの煙、ストレスや過労、運動などによって引き起こされるものがあります。
いずれにしても、喘息持ちの人は常に気道が炎症を起こしている状態で、そこに原因が重なることでさらなる炎症を招き、空気の通り道が狭くなってしまいやすいという特徴があります。
犬の飼育で言えば、やはり犬アレルギーによって喘息を招く危険性がありますので、安易に飼育してしまうことは避けるべきでしょう。
犬アレルギーの症状は?
犬アレルギーの症状も、花粉症などと同じようなアレルギー反応を起こします。つまり、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・涙・目の痒み・目の充血・喉の痒み・発疹などです。
犬アレルギーが重篤化してしまうと、下痢や吐き気・嘔吐、めまいなども起こり、食べ物を飲み込むのが難しくなったり、鼓動が激しくなったりします。
重篤化してしまう場合は、喘息を伴っている人にも多く見られるため、十分な注意も必要です。
犬アレルギーは治る?
さて、そこで気になるのが、「果たして犬アレルギーは治るのか?」ということでしょう。結論から言えば、治すということはかなり困難です。
ただし、例えば花粉症のように、「いつの間にか発症しなくなった」という人も大勢いますので、絶対に治らないというわけでもないかもしれません。
この場合は、治ったというよりも、症状が出にくくなるということになりますが、犬アレルギーにしても、「いつの間にか症状が出なくなった」という人も実際にいます。
アレルギーは特定の物質に対して免疫が過剰に反応するわけですが、何らかの原因でそうならずに済むということはあるでしょう。
ストレスや生活習慣、食生活などを見直すことで、発症しにくい体を作ることも十分に可能です。
免疫が暴走するということは、免疫機能に何らかの異常があることになりますが、その原因は一般的に市販されている食品の多くに含まれている化学物質が原因では?という声もあります。
なるべく自然のものを摂取し、清涼飲料水やお菓子の摂取を控えるだけでも、アレルギーやアトピーなどにかなりの改善効果があるとも云われています。
アレルギーがあっても、何も環境改善を図らなければ、症状の緩和や予防というのも難しいでしょう。
犬を飼育した後に犬アレルギーが発症した!対策は?
犬の飼育前にはアレルギーとは無縁だったのに、犬の飼育後に犬アレルギーを発症してしまった!というケースもあります。
その場合の対策としては、まず病院に行くこと!それが先決です。その上で、空気清浄機の設置、部屋の換気、掃除などは必ず必要になります。
また、犬をシャンプーすることで、アレルゲンの飛散を抑えることも可能ですから、できることをやりながら、上手にアレルギーと付き合っていくしかありません。
ちなみに、昨今ではほぼ当たり前となりましたが、布団に掃除機をかけることも必要です。布団に掃除機をかけるときは、事前に干した方が乾燥するので効果的にアレルゲンを除去できます。
布団を干した後にパンパンと叩く人もいますが、あれは無駄にアレルゲンを撒き散らす結果になりますし、布団の奥にあるアレルゲンを表面に浮かせてしまうことになるので、ほとんど効果はありません。
布団を干したら表面を軽く払う程度にし、後は掃除機で吸い込むのが有効です。
まとめ
犬アレルギーを持っている、もしくは家族の誰かが犬アレルギーであるという場合は、犬の飼育は諦めるべきです。
また、飼育後に発症してしまった場合でも、よほど重症化しない限りは、できるだけ上手に犬アレルギーと付き合うことを優先し、できれば、せっかく縁があって飼育を始めた犬を簡単に手離してしまうようなことは避けて欲しいと思います。