犬と言葉を交わすことができない以上、意思疎通を図るためには飼い主が犬の心理を理解してあげなければなりません。我々人間が考えている以上に、犬は飼い主の気持ちを理解しているものですが、当の飼い主が犬の心理を理解してあげることができていなければ、それは飼い主として失格の烙印を押されてしまっても仕方がないことでもありますよね?
例えば、飼い主から見れば犬が喜んでいるように見えることでも、実は犬にとっては迷惑でしかないということもあります。それが原因でストレスとなり、病気になったり家族を噛んでしまったりすることにもなりかねません。
ここでは、犬と仲良くなるために知っておきたい、飼い主が勘違いしやすい『犬が嫌がること&喜ぶこと』について、代表的なものをご紹介していきますね。
犬が嫌がること7選!
睡眠を邪魔する
犬も人間の子供と同じで、睡眠はとても大切です。十分に睡眠がとれていないと、体調を崩す原因となってしまうことは人間だって同じですよね?犬が寝てしまってつまらないからという理由で起こしてしまったりするのは、あまりに自分勝手な行動以外の何物でもありません。
せっかく寝ている犬にちょっかいを出して睡眠を邪魔することはやめましょう。犬が寝たい時は自由に寝かせてあげるだけの環境を整えてあげて下さい。
スキンシップがない
毎日のスキンシップは犬にとってとても大切。日頃からスキンシップを図っていれば、いざ愛犬が体調を崩してしまったりした場合にもすぐに気づくことができます。
また、愛犬へのマッサージなどで常日頃から体に触れていると、皮膚の状態の把握もできます。普段からスキンシップを図っていれば、それが功を奏して腫瘍の早期発見に繋がるというケースも少なくありません。
子供、横柄な態度をとる家族、酔っ払い
- 大きな声で話す。
- 大きな音を出す。
- バタバタと走り回る。
- アルコールやタバコの臭いをプンプン放っている。
こうした家族のいる家庭は、犬にとっては苦痛です。遊びたくもないのにちょっかいを出されたりすることも、犬には大きなストレスとなります。そうした場合、本来であれば飼い主が静かな場所へ移動させてあげるなどの対策を講じて、愛犬を守ってあげる必要もあります。犬もそれを望んでいるはずです。
飼い主がそれに気づいてあげられないでいると、恐怖心から噛んでしまったりすることもあります。
ハグする
愛犬が可愛いあまり、「○○ちゃ~ん!!」と言って犬の後ろから抱きしめる飼い主さんも多いようです。上から覆いかぶさるように抱きしめるのは、犬にとっては恐怖以外何も感じません。
もし仮に、犬が飼い主よりも優勢な立場にいるような環境なら、マウンティングされていると勘違いして飼い主を噛んでしまうこともあります。
そっと抱きしめるという行為は決して悪いことではありませんが、後ろからいきなり抱きしめることはNGです。犬にとってのマウンティングの意味を理解しておきましょう。
むやみに頭を触る
犬を撫でるというと、頭を撫でることを想像しがちです。ですが、犬は頭を撫でられることに不快感を感じている場合がほとんどです。
撫でるのであれば首や背中などを撫でるようにし、なるべく頭を撫でることは控えた方がいいでしょう。特に、嫌いな人に頭を撫でられると恐怖心から噛み付いてしまったりすることもあります。
花火大会に連れて行く
花火大会で犬を連れている人も見かけますが、犬にとって花火の音は恐怖そのものでしかありません。
これは雷も同じですが、犬からすると「なぜ花火や雷が大きな音を発するのか」の原因を知ることができません。ましてや犬の聴力は人間よりも遥かに優れていますから、あまりの恐怖心から体調を崩すこともあります。
叩いて叱る
犬を叱る場合は、言葉の命令によって理解させることが大切。ダメなことは「ノー!」という命令を出すことで、自然と覚えてくれるものです。
しかし、言葉ではなく行動(叩く)で叱ってしまうと、犬は飼い主の命令を理解することができません。理解できないまま混乱してしまうことになってしまうため、またいつ叩かれるか分からないという状況の中でストレスを抱えながら生活していくことにもなってしまいます。
犬が喜ぶこと6選!
大切な家族の一員として一緒に生活していくことになる愛犬。仕事が忙しくてなかなかかまってあげられなかったりして、寂しい思いをさせていたりはしませんか?そんなときは、ほんの少しの時間でも構いませんから、愛犬と過ごす時間を作って喜ばせてあげることも飼い主として心掛けておきたいもの。
普段かまってあげられないからこそ、時間のあるときは目一杯かまってあげることも忘れてはいけません。愛犬と楽しい時間を過ごすためには、どういったことをしてあげたら喜ぶのかということも知っておきたいですよね?
ここからは、犬が喜ぶことを6つ紹介しますので、ぜひ愛犬との仲良しの時間に役立ててみてください。
開放感
普段の散歩ももちろん大切ですが、たまにはノーリードで目一杯走らせてあげたいと思ったことはありませんか?そんなときは、ドッグランなどへ出掛けて、愛犬を開放感に浸らせてあげるのもおすすめです。
犬のストレス発散に運動は欠かせないのです。毎日忙しいからという理由でそうしたことをしてあげられないことは、犬にとっては大きなストレスになります。屋外の開放感のある場所は愛犬にとってもいいストレス発散になりますし、広い場所で思い切り走り回れることは犬にとってもとても嬉しいはずです。
もちろん、ドッグランではマナーも必要になりますから、なるべくしつけにも気を付けておきたいものです。平日などであれば比較的空いているドッグランもありますから、たまには時間を作って、愛犬と体を動かしてみるのもいいでしょう。
また、高齢や介護中で歩行が困難な犬であっても、散歩をして外の空気に触れさせてあげることはストレス解消になり、とても喜んでくれます。犬をキャリーカートに乗せて散歩している飼い主さんを日本でも見掛けるようになりましたが、あれはまさに歩行困難な愛犬のケアでもあるのです。
スキンシップ
犬が嫌がることに「スキンシップがない」ことを挙げましたが、犬は飼い主とのスキンシップを何よりも喜びます。話しかけながら体を撫でてあげるだけで、とても喜んでくれます。
ただし、犬は顔を撫でられるのがあまり好きではありませんから、撫でるなら顎や首回り、背中やお腹などを中心にゆっくりと撫でてあげましょう。飼い主が触れてくれているだけで安心感も湧いてきますし、そこからさらなる信頼感にも繋がってきます。
また、たくさん話しかけてあげることで、犬は飼い主の声を記憶に植え付けていきます。姿が見えなくても飼い主を判断することができますし、意思の疎通も図れるようになってきます。
さらに、愛犬に向かって話しかけてあげるだけで、飼い主に愛されていることを敏感に感じ取ってくれるようにもなります。
マッサージやブラッシング
これは、上記のスキンシップとほぼ同じです。しかし、ただ撫でるだけでなく、マッサージやブラッシングを加えてあげることで、健康管理などにも役立ちます。
普段からマッサージやブラッシングをしていたおかげで、腫瘍などを見つけることに繋がったというケースもあります。腫瘍などであれば早めの治療が不可欠ですし、マッサージによって早期発見することもできます。
マッサージ自体を嫌がる犬もいますから、無理矢理することは好ましいことではありませんが、嫌がらないようであれば、ツボなどを刺激しながらマッサージをしてあげると喜びます。
おやつ
基本的には、おやつはあまり必要のないものではありますが、それでもしつけなどのときにはおやつは有効なアイテムですね。もちろんしつけのときだけでなく、たまのご褒美としておやつを与えてあげるのもいいでしょう。
飼い主の手から直接食べ物を与えてもらうということは、犬にとっても格別なものです。もちろん、調子に乗って与え過ぎてしまうのはNGですが、たまに「特別扱い」をしてあげるだけで犬は喜んでくれます。
こちらはスマホの遠隔操作でおやつをあげることができ、その瞬間を撮影することもできます。飼い主が外出中でも犬を楽しませてあげることができます。
ストレスフリーの状態でゆっくり寝かせてあげる
普段、留守番の多い犬は、飼い主のいない環境で常にストレスを感じ続けている状態です。留守番中に昼寝をしたりしていても、ストレスを感じながらの睡眠では十分な睡眠を確保できません。
犬は、1日に15時間前後の睡眠をとるといわれています。愛犬とゆっくり過ごせる時間があるときは、飼い主がそばにいるストレスフリーの状態で、存分に寝かせてあげることも必要です。
いつも笑顔で明るく接してあげる
たとえば水を取り替えたり、散歩から帰ってきたら足裏を洗ってあげたりなど、疲れているときは億劫だと感じてしまうこともあるでしょう。でも、そうして手を掛けてあげないと、犬は生きていけない動物です。だからこそひとつひとつのことに心を込めて接してあげることが大切です。
もし、「疲れているのに面倒臭いなぁ…」と少しでも考えてしまったりしても、犬はすべてを理解してくれています。そんな邪な考えに支配されてしまうことがあったとしても、愛くるしい愛犬を見ているうちにそんな考えもどこかへ吹っ飛んでしまいますよね。
犬にとっては、飼い主が喜んでくれることこそが本当の喜びだといっても過言ではないくらいです。なので、少しでも邪なことを考えてしまった後は、必ず謝罪の気持ちをもって接してあげることも必要です。
「さっきはあんなこと言って(考えて)ごめんね」といった気持ちを込めてスキンシップを図るだけで、犬には十分に伝わるはずです。
犬が嫌がること&喜ぶことまとめ
犬が嫌がっていることに気付かないままでいると、それが元で問題行動を起こす犬になってしまいます。問題行動を起こす犬の多くは、飼い主に原因があることもよく知られていますよね?そのため、犬の訓練士のなかには、犬をしつける前にまず「飼い主のしつけ」をする人もいるくらいです。
ちょっと頭の良い犬であれば、場合によっては飼い主を見限ってしまうケースもあるのです。以下のような人は、犬を飼うこと自体を諦めた方がいいかもしれません。
- すぐにヒステリックになる。
- 自分の感情を一方的に犬に押し付ける。
- 精神的に情緒不安定。
- 飼い主としてリーダーシップを取れない。
- そもそも犬の心情を理解できない人。
もしこれらに自覚がある人は、本当に犬のことを大切に思うのであれば「犬を飼わない」というのも選択肢に入れて下さい。
後にも先にも犬が喜ぶことはすべて飼い主あってのものです。大好きな飼い主と一緒に過ごせること―それが犬にとって一番の喜びです。普段からスキンシップを図っているならともかく、なかなかそうできない場合はできる限り一緒に過ごせる時間を作るようにしたいものですね。
上に挙げた例も参考にしつつ、ぜひバディとの素敵な時間を満喫してください。おもちゃを使って一緒に遊んであげることも忘れずに!
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