大きな自然災害の頻発するこの日本にあって、犬や猫といったペットの避難の在り方もクローズアップされています。事実、環境省はもとより、動物愛護団体なども避難時にはペットも同行させるようにと呼びかけています。
それは何より、飼い主の避難によって取り残されてしまったペットが、衰弱して不本意な亡くなり方を防ぐという意味もありますが、衛生的な問題もある上にストレスや空腹によって人へ危害を加えてしまう可能性もあることから、避難時には飼い主が責任をもって同行避難することが推奨されています。
ここでは、いつ起こるかも分からない災害が万が一起きてしまった場合の心構えや、災害時に役立つ犬の防災グッズなどについてご紹介していきます。
参考:わんちゃんホンポ
防災グッズの前にまず確認!必ず用意しておくべきものはこれだけある!
災害への備えは、人間だけでなく”家族”であるペットにも必要です。人間用の備蓄品を用意しておくことももちろん大切ですが、いざ犬と同行避難した際に犬の備蓄品が何もなければ意味がありません。
災害は突発的にやってくるものですから、普段から犬用の備蓄品も準備しておく必要があります。以下が、最低限用意しておきたい備蓄品です。
準備しておくもの | 説明 |
---|---|
フード | 普段与えているもの・食べ慣れているもの・持病等あれば療法食 |
水 | 人間用と併せて備蓄しておくべき |
餌皿 | 絶対に必要 |
首輪やリードの予備 | 伸縮タイプは避けましょう |
予備のサークルやケージ等 | 倍によっては一緒に避難所へ入れないケースもあるため必要 |
ペットシーツやトレー | 排泄に関わるグッズも必須 |
衛生用品 | ブラシや爪切り等 |
毛布などの敷物 | 寝床の確保・冬期の保温 |
ガムテープ | 万が一の時に何かと役立つ |
メモ帳など | 飼い主の情報や犬に関する情報を記載しておく |
ペット用ウェットティッシュ・タオル | 衛生管理のためにも必須 |
ざっと挙げただけでも、これだけのものが最低限必要になります。少なくとも最低1週間分は備蓄しておくことをおすすめします。
準備できるものはなるべく飼い主側で準備
避難先にドッグフードが用意されているとは限りません。また、いつも食べ慣れていないフードは警戒して食べないことも考えられますので、できるだけ慣れたフードを備蓄しておきましょう。
もちろん、持病があれば療法食の備蓄も必須です。餌皿やペットシーツなど、避難先に用意されていないものはたくさんありますし、避難所へ一緒に入れないケースも多々あります。
当然ながら犬嫌いな人もいるでしょうし、アレルギーのある方も避難をしているわけですから、そういった人たちにも気を遣わなければなりません。
屋外にサークル等を設置する必要もあるでしょうし、避難先の子供たちが犬を触りたがったりすることもあります。つまり、犬にとってはストレスだらけの環境となりますので、できる限りストレスを軽減させる方法を模索する必要があるでしょう。
その場合、メモ帳などに飼い主情報や犬の情報を記載して貼り付けておくのもいいでしょう。「触る前に一言声をかけてください」といった旨を告知しておくだけでも、多少の効果も見込めます。
飼い主同伴であれば犬も安心しますので、無駄なストレスも軽減できます。できれば、糞尿のニオイを抑えるためにも、犬用の消臭スプレーなどを用意しておくことも必要です。
万が一に備えた心構え!やはりしつけは絶対必要!!!
避難先で他人に迷惑がかからないようにするのは当たり前の話ですが、そのためにも普段からのしつけはとても重要になります。
人に慣れていなければストレスになるでしょうし、避難先には他の犬もいるわけですから、犬に慣れていない場合も同様です。
また、ストレスから一晩中吠えてしまう犬もいますし、サークルなどで過ごすことに慣れていないためにそれだけでストレスになってしまう犬もいます。
ストレスから体調を崩すケースも少なくありませんので、こういった場でこそ普段の「しつけ力」が発揮されるのだということは認識しておきましょう。
おすすめの犬用防災グッズ
犬との同行避難についての心構えを知ったところで、ここからはおすすめの犬用防災グッズをご紹介していきます。備蓄しておくべきものと併せてぜひ参考にしてみてください。
ネームプレート
犬の首輪に取り付けることのできるネームプレートは、もしどさくさに紛れて離れ離れになってしまった際に重宝できるアイテムです。
通販各社でも購入できますし、ペットショップなどでも手軽に購入できるアイテムです。実際、ネームプレートのおかげで離ればなれになった愛犬と再会できたケースもあります。
首輪タイプもおすすめです。
折りたたみ式サークル&テント
折り畳み可能な簡易式サークルや、袋から取り出すだけでサッと広げられるワンタッチテントなどもおすすめです。何より、普通のサークルに比べて持ち運びにも優れているのは大きなメリットです。
避難だけに限らず、レジャーなどにも活躍するアイテムです。テントは、夏場の日差しを避けるのにも有効です。
割れない&持ち運びに便利な食器
最近では、散歩用に活用できるシリコン素材の食器も人気です。コンパクトに畳めるので持ち運びもかさばりませんし、何より割れたり傷つくこともありません。レジャーだけでなく、避難時にもぜひ携行しておきたいグッズです。
トイレ関連グッズ
こちらも、持ち運びに便利なシリコン素材のトレーもあります。また、土に還るうんち袋なども人気です。便の処理はかなり気を遣うため、捨てる場所に困らないというのはかなりメリット大ですね。
危険物も何のその!犬用ブーツ
こちらは、災害時に犬の足を危険物から守ってくれる頼れるアイテムです。地震時などは、地面に様々な危険物が散乱していますので、一足用意しておくのがおすすめです。
万が一足に傷を負ってしまえば、衛生管理もままならずに化膿したりしてしまうことにもなりかねません。不用意な事故を防ぐ意味でも、ぜひ検討しておきたいアイテムです。
リードの繋ぎ場所に困らない便利アイテム!
リードの繋ぎ場所に困ってしまう――そんな経験をされた飼い主さんも多いことでしょう。避難時だけに限らず、色んなシーンでそうした問題に直面するものです。ペットの施設のように、ドッグパーキングのようなものは避難所にはありません。
そうした際に役立つのが、繋ぎ場所を選ばない「つなげるリング」です。これひとつあるだけで、どこにでも犬を繋いでおくことができるので安心です。
身近なものは確実に備蓄!便利グッズも上手に併用しましょう
いざ災害が起きてから慌てても、もはや後の祭りです。少なくとも、身近なものは必ず備蓄するようにしておき、以上のような便利グッズも併せて検討してみましょう。
避難訓練の参加は必須!犬連れで参加することに意義があります
東日本大震災を契機に、環境省では「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」というものを作成しました。これは、各自治体が避難時のペット救済に関するマニュアル造りの参考ともなり得るものとなっています。
毎年、全国の各自治体では防災訓練が行われていますが、そこには犬連れで必ず出席しておくことをおすすめします。
避難訓練の段階からペットを連れていくことで、何より自治体側もペット連れの避難者に対する対応も意識しなければならなくなります。
日頃から、飼い主側と自治体側でペット避難に対する意識付けができていれば、いざという時にも安心できる環境が整えられていくはずです。防災訓練へ連れていくペットも1頭や2頭ではなく、なるべく愛犬家同士声を掛け合って参加した方がさらに意義深いものになります。
まとめ
避難所においては、ただでさえ人間用の物資も不足しがちとなります。ましてやペット用の物資ともなると、どうしても後回しとなってしまう可能性さえあります。
大切な家族のために、飼い主としてどれだけのことをしてあげられるのか、今一度再確認しておきましょう。
実際、災害時にペット連れの避難が拒否されたケースもありますし、事前に自治体に確認しておくことは非常に重要なことです。日頃の情報交換が、愛犬の命を救うことに繋がります。