丸い体型につぶらな瞳、そして短足――コーギーは古くから人間と一緒に生活を共にしてきた犬種で、主に牧羊犬として活躍してきました。ここ日本でも中型犬種の代表格とも呼べる存在で、多くの愛犬家からの人気も高い犬種です。
コーギーが日本で人気を博すきっかけとなったのが、紅茶飲料のCMに起用されたことでした。それ以前は、「知っている人は知っている」という程度の認知度でしたが、CMの愛らしい姿に魅了された人が続出し、現在のような知名度を確立しました。
そんなコーギーの性格やしつけの仕方などについてご紹介していきます。
コーギーには2種類ある
日本では、単に「コーギー」と言った場合、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークを指す場合がほとんどです。実際、ドッグランでもドッグカフェでも、犬の集う場所で見かけるコーギーは、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークばかりです。
しかし、実際にはもう1種類のコーギーが存在します。それが、ウェルシュ・コーギー・カーディガンと呼ばれる犬種です。
この2種類は、ほとんど見分けが付かないほど似ていますが、元々は同一犬種として認知されていました。1930年代にイギリスのザ・ケネルクラブ(KC)やアメリカのAKCで、ペンブロークとカーディガンがそれぞれ独立した犬種として登録されています。
一般的には、尻尾のある方がカーディガンで、尻尾の無い方がペンブロークとも言われていますが、実際にはペンブロークにも本来は尻尾があります。
基本的な見分け方としては、ペンブロークよりもカーディガンの方が胴長であるということくらいで、見た目自体にはほとんど差異はありません。ただし、ほとんどの場合、ペンブロークは尻尾を切断してしまうのが一般的で、日本においては「尻尾のないコーギー=ペンブローク」という認識で問題ありません。
海外においては、「断尾=虐待」とみなされ、尻尾を切断してはいけないという法律が施行されているところもありますので、いつの日か日本でもペンブロークの断尾が見直される日も来るかもしれませんね。
なぜペンブロークには尻尾がないの?
さて、ペンブロークは尻尾が無い犬、もしくは尻尾の短い犬というイメージが定着していますよね。しかし、先にも書きましたが、本来はペンブロークにも尻尾があり、それをわざわざ切断するということが昔から行われてきたのです。
なぜなのでしょうか?とても不思議ですよね?実は、羊追いや牛追いを主な仕事としてきたペンブロークですが、長い尾を牛に踏まれたりしないために断尾が行われてきたという説や、そもそも尻尾が太くて長いため、キツネと誤認しやすいために敢えて断尾したという説など、様々な説があります。
いずれにしても、牧畜犬として活躍しやすいように敢えて断尾が行われてきたということは間違いないようです。
コーギーの性格
そんなコーギーの性格ですが、ペンブロークとカーディガンでは少々性格が異なります。まず日本でお馴染みのペンブロークですが、明朗活発で動くことが大好きな犬種です。
古くから人間と共生してきた犬種なので、賢くてコミュニケーション能力も高いことで知られます。羊や牛を守ってきたという特性上、警戒心は高めで、吠え癖が付いてしまいやすいという一面もあります。
一度興奮してしまうとずっと吠え続けてしまうという側面もありますし、ウロウロと落ち着きがないのもペンブロークの特徴です。
牧畜犬は、群れからはぐれた羊や牛を群れへと戻すのも大きな役目のひとつですが、その際に羊や牛のかかとに噛み付くことで群れへと誘導してきました。そのため現在でも、飼い主の足に噛み付いてしまうという習性が見受けられます。
もちろん、散歩中に他人の足に噛み付いてしまうようなこともあるので、十分に注意する必要もあります。
一方、カーディガンの方は、基本的な性格はペンブロークと差異はありませんが、ペンブロークよりも落ち着いた性格が基本となっています。カーディガンもペンブロークと同様に牧畜犬として活躍してきたため、ペンブロークのように飼い主の足を噛んでしまうという特徴も見られます。
コーギーのしつけ方
コーギーは基本的に賢くて従順な性格をしているため、しつけをすること自体はさほど難しくない犬種です。コミュニケーション能力も高いので他の人や犬とも比較的仲良くできますが、神経質な一面が前面に出てしまうと人や犬に吠えかかったり、噛んでしまうこともあります。
コーギーはその習性から、動くものに対して過敏に反応してしまうという本能があるので、家では飼い主に従順であっても、一旦外へ出るとコントロールが効かなくなる恐れもあります。
- 散歩中に車やバイク、自転車等に飛び掛かる
- すれ違いざまに人や犬に噛み付く
- ドッグランで他の犬を追いかけ回す
上記はほんの一例ですが、実際にコーギーを飼育している人はこうした経験をしたケースが多いようです。家では賢くて利口に振る舞っていても、いざ外へ出た時には様々な危険も伴うのがコーギーの特徴でもありますから、例えドッグランであっても他の犬に慣れていない状態でリードを外すのは危険です。
コーギーをしつける際のポイントとしては、神経質な一面を取り除くことと、警戒心を解くことが重要になります。屋内のしつけだけでなく、屋外で徐々に人や犬に慣れさせていくことからスタートしましょう。
また、とても賢いコーギーですから、初心者の飼育はなるべく避けるべきとも言えます。しつけに慣れていないと甘やかす要因になってしまうほか、飼い主が自分よりも上の存在か下の存在かを瞬時に見分けてしまいます。
それによって、しつけに手間取ってしまうどころか、もはやしつけすらできない状態になってしまうケースも多々ありますので、初めて犬を飼う人にはあまり向かない犬種とも言えるのです。
くれぐれも、興味本位で飼育することのないようにしたいものですね。
まとめ
コーギーは可愛い!これは間違いありません。確実にコーギーは可愛い犬種です。しかしその反面、とても運動量が激しいですし、吠える・噛む・飛び掛かるという行動を当たり前のようにしてしまうという習性があります。
それも本能ですから、まずは飼育にあたってその基本的な部分だけは頭に入れておくべきでしょう。その上で、必要なしつけを早い段階から施していく必要があります。
早い段階で他の犬に触れさせてあげることをしておかないと、先述のように他の人や犬に迷惑をかける原因になってしまう可能性も高いのです。
子犬のコーギーは可愛すぎてしつけなど考えられないかもしれませんが、賢いがためにそれをしておかないと後々大変な苦労を強いられることになるということは肝に銘じておきましょう。