犬に服を着せることがほぼ当たり前とも言える時代になってきましたが、そもそも犬に服を着せる意味とは何なのでしょうか?犬を飼っていない人から見れば、単なるオシャレだという認識がまだまだ根強いようですが、犬に服を着せる理由とはそれだけではありません。
ここでは、犬に服を着せる理由、そしていつどういったタイミングでどんな服を着せたらいいのか、そして犬の服の洗濯方法などについて解説していきますね。
犬に服を着せる理由は?
一見すると、ただオシャレのためだけに愛犬に服を着せているように見えますが、実は犬に服を着せることは様々な意味合いがあるのです。もちろん見た目を良くするためにオシャレなものを選ぶ傾向にありますが、それは外見上の見映えを良くするためだけで、本来の目的は別のところにあります。
愛犬に服を着せることについては賛否両論だと思います。そこで、メリットとデメリットの部分を引き出してみました。
メリット
メリットとして考えられることを挙げていきましょう。
- 病気やケガ予防になる
- 雨の日などは散歩などの帰宅後のお手入れが楽
- 寒さ対策になる
- 抜け毛の防止になる(毛を舞い散らせない)
- エリザベスカラーの代用(エリザベスウェア:術後服)
- 毛が汚れにくくなるのでシャンプーの回数が減る
などがありますね。小型~中型犬の場合は、メリットとして挙げた大半が当てはまるのではないでしょうか。
うちの子たちは、大型犬ですのでかわいい服はなかなか見られません。しかし、レインコートは使っています。室内で飼っていますので、雨の日の散歩は大変でした。足とお腹周りが汚れてしまい、帰ってからシャンプーをしなくてはならないからです。レインコートを使うようになってからは、足を少し洗うだけで済んでいます。
デメリット
デメリットになる部分は必ずあります。この部分とどう付き合っていくかが課題になるはずです。
- ストレスになる
- 装飾品などの誤食が心配
- 毛玉ができやすい
- コストがかかる
- 細菌などが繁殖しやすくなるため、清潔なものを用意する(洗濯は必須)
などです。友人宅では、ポメラニアンを飼っています。しかも毛がカールしているため、ブラッシングと服を着させる時間を考えていると話していました。服を着せる時間が長いと、毛玉ができやすくなるそうです。
また、嫌がる時は着せてもすぐに脱がしてあげるなどさまざまな対応策を取っているとのことでした。愛犬がストレスになってしまうようなことをしないというのは大前提ですからね。
犬に服を着せる必要性とそのタイミングは?
犬に服を着せる必要性とそのタイミングですが、これは飼い主の判断ということになります。暑さに弱い犬ですから、真夏に冬用の服を着せるのはNGです。どんなにオシャレでも、それは犬の寿命を縮めてしまうだけですから、絶対に避けたいところですね。
当たり前の話ですが、夏には夏用の素材を用いた服を着せるようにするのがベストですし、冬には冬用の服を着せるのがベストということになります。ただし、冬で暖房の効いた部屋で過ごすのであれば、室内に限っては夏用の服を着せてあげるのもおすすめです。
それなりに暖房が効いている状態であれば、抜け毛が多いというわけでもない限りは服を着せなくてもいいくらいです。その辺りは犬の様子や室温を見つつ、飼い主が適切に判断してあげるようにしましょう。
たとえば以下のようなケースで犬の服が必要になります。
エリザベスカラーの代用(エリザベスウェア:術後服)
これは犬の皮膚病の際や術後に使用するウェアです。 医療用ですが通常の服としての使用もできます。詳しくはこちらの記事を参考にして下さい。
夏の紫外線から皮膚を守る
犬の皮膚は人間よりも薄いため、夏の紫外線対策も実は必要なケースもあります。現在日本でも様々な犬種が飼育されていますが、被毛の薄い犬種などは紫外線対策を講じる必要があるわけですね。その紫外線対策として最も手軽に行えるのが犬の服というわけです。
冬の防寒対策
逆に、冬の寒さから犬の体を保温する目的で服を着せることもあります。特に小型犬種の中には寒さに非常に弱い犬種も存在しますから、飼育する犬種によっては保温にも気を遣ってあげる必要があるのです。
散歩中の寄生虫対策や汚れ防止
犬に服を着せることで被毛の汚れを防止したり、ダニやノミなどの寄生虫対策にも効果があります。ダニやノミに関してはそれ以外の方法(フロントラインなど)を併せて行う必要がありますが、特に被毛の汚れ防止に関しては服を着せるのが最も効果が高いでしょう。
散歩の度に汚れてしまって頻繁にシャンプーをしていては犬の皮膚にも良くありませんし、かといって汚れを放置しているのも好ましいことではありません。そうした意味でも、服を着せてあげることは意義があることなのです。
被毛の飛び散りを防ぐ
犬種の特徴として抜け毛の激しい犬種もありますし、病気等によって抜け毛が多くなってしまう犬もいます。そうした場合に服を着せてあげることで被毛の飛び散りを防ぐ効果があります。そうした目的で犬に服を着せている飼い主さんであれば、とても周囲に気遣いができている飼い主ということになります。
ドッグカフェ等で他人に不快な思いをさせないというモラル意識の高い飼い主さんということになりますね。
雨の日の散歩はレインコートを
雨が降ったからといって犬の散歩を中止するわけにはいきませんよね。そんな時は愛犬が濡れないようにレインコートを着させてあげましょう。
犬の服はデザイン性よりも機能性を重視して
また、犬にとってカラフルな色合いやドレスのようなデザインはどうでもいいことです。そもそも犬は色の判別もそう得意ではありませんから、服を着せられる際に「わーい!今日はピンクだ♪」とかいった喜びはありません。
犬にとって大事なのは動きやすいかどうかということの方がよっぽど重要です。デザインにこだわるのも間違いではありませんが、そこに固執してしまうことで犬が動きにくいなどのストレスを感じてしまっては本末転倒です。
場合によっては、動きにくいのに無理矢理動いて怪我をしてしまう可能性だってゼロではありません。服選びの際は、いかに機能性に優れていて犬が動きやすいか?という部分も重視したいところです。もちろん、年賀状用の撮影などのために紋付き袴やドレスなどを着せるのは構いませんが、撮影後は速やかに別の動きやすい服に着替えさせることも必要です。
犬用の服のサイズは、1号から4号まであります。服に記載されている寸法をよく確認しましょう。サイズが合わないと愛犬に不快な思いをさせてしまうことになるからです。
犬用の服は試着ができません。ですから、しっかりサイズを測ってから選ぶことが必要です。最初のうちは、ペットショップや専門店で選び方などを聞きながら購入する方がおすすめです。店員さんがいろいろ教えてくれます。
ネットショップなどオンラインでの購入を考えている場合は、購入前にショップに相談をするのが一番です。服の生地や素材によって、伸縮性の問題や体格の問題があります。自宅に届いてから「着られない」となっても、多くの場合が試着後の返品ができません。
相談するべき点は、犬種・測定サイズ・体重・素材・伸縮性などです。服を着させたいのであれば、少しの時間でもストレスが少なく過ごせることができるようにした方がいいでしょう。体型に合ったものを着せることで、不慮の事故を防ぐと同時に、見栄えもよくなります。
犬の服は清潔に!正しく洗濯しましょう
犬の服は、できれば何着も用意しておくのがおすすめです。やはり清潔にしておくことは大事なことなので、毎日の交換をおすすめしますし、散歩などで汚れたりもしますので、散歩から帰宅したら新しい服と交換してあげるようにしましょう。
洗濯の頻度は、できればこまめに行うことがいいでしょう。服を着替えさせたら、その日のうちにすぐ洗うといった具合です。レインコートなどのビニールに近い素材の場合は、洗濯というより拭くだけでもいいと思います。
なお、人間の衣類と犬用の服は一緒には洗いません。抜け毛やニオイなどが人間の衣類に移ってしまうからです。飼い主さんは感じないかもしれませんが、他の人からすればニオイがしてきます。仮に良い香りのする洗剤や柔軟剤を入れたとしても、犬のニオイは残りますし、愛犬にとってはその香りで嫌な思いをするだけです。
著者宅の場合は、1~2ヶ月に1回は犬用の洗濯洗剤を少し使ってスポンジで撫でるように洗っています。そのあとしっかり水で流し、陰干しをしておきます。そうすれば汚れも取れますし、状態良く長く使えるからです。
犬の服を洗濯する際は人間用の衣服用洗剤でも構いませんが、一般的に犬の分泌する皮脂というのは非常に落ちにくいとも言われています。また、服に染みついた犬のニオイも、通常の洗剤ではなかなか落ちないというデメリットもあります。
できれば、犬の服を洗う際は犬用の洗剤を使用するのがおすすめです。
こういったものなら通常の洗剤では落としきれないニオイや皮脂もしっかり落とすことができるので、清潔感を保つことができます。犬用洗剤であれば犬の服だけでなく、犬の毛布類やクッション、ベッドなども洗うことができますので、ひとつ用意しておくといいでしょう。
また、洗剤残りがないようにしっかりとすすぐことも忘れてはいけません。衣服に残った洗剤でアレルギーを起こしたり皮膚炎を起こす犬もいるので、なるべくしっかりとすすぐことを心掛けましょう。
犬の服を洗濯する際の注意点
犬の服は、素材によっては洗濯によって色落ちしたり縮んでしまったりすることもありますので、洗濯表示をしっかりと確認しておくようにしましょう。手洗いが必要なものもあります。しかし多くの場合は洗濯機を使って洗うことができます。
洗濯前には必ず服に付着した被毛を取り除いておくことも必要です。洗濯機にはゴミをキャッチするための「くず取りネット」なども付いていますが、それでは取り除けないほどの被毛が付着していることもありますし、洗濯後に洗濯槽の中に毛が残ってしまうこともあります。
事前に衣服の毛をコロコロなどで取り除いておくことで、洗濯後に洗濯機の掃除をする手間も省けます。それに排水管が詰まってしまうようなことを避けることができるからです。
先出のポメラニアンを飼っている友人がこれで失敗をしていました。毛を取らずに洗濯機を使用し、毛詰まりに気づかなかったそうです。ある日、洗濯をしていたら水が溢れていまい、床が水浸し、配管業者を呼ぶ羽目になったと言っていました。業者からは、毛詰まりが原因だと言われたそうです。
ちょっとの手間を省いてしまうと、思いもよらないところで大きな負担がやってきます。手間・金銭的に飼い主さんの負担にならないよう注意が必要です。洗濯が終わったら洗濯槽をキッチンペーパーやぞうきんなどできちんと拭きましょう。そうしないと、次に人間の衣類を洗う時に毛がついてきます。
洗濯後の服は必ずしっかりと乾かすことだけは忘れないでくださいね。生乾きでは雑菌が繁殖して嫌なニオイが発生しますし、犬の皮膚にも悪影響を及ぼしてしまいかねません。それにニオイもペット臭+生乾き臭のダブルパンチを食らうことになります。一番良いのは外干しです。ひっくり返して内側を外に出して干すと早く乾きますし、色落ちの心配がありませんのでおすすめです。(人間の衣類と同じ要領です!)
また、人の服と一緒に洗う場合や、家中にペットの抜け毛が多くて服に付着してしまうのが気になる方には、それ専用の洗剤も販売されています。これは洗うたびにペットの抜け毛が付きにくくなるコーティングがされるので、ペットの抜け毛に悩まされなくなります。
まとめ
以上のように、目的があるから服を着せているという飼い主がほとんどです。オシャレを目的に敢えて可愛い服を着せているという飼い主もいますが、割合として見れば、単なるオシャレよりも何か目的があって服を着せているケースの方が多いはずです。
ぜひ、オシャレに偏ることなく、快適で過ごしやすい愛犬の服を見つけてみてください。できることなら飼い主目線で選ぶのではなく、あくまでも犬目線で選べる飼い主でありたいものですね。
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