一昔前、某消費者金融のCMで一躍”時の犬”となったチワワ。以来、愛玩犬の代表格として、一気に人気犬種の仲間入りを果たしました。
小さな体にアップルヘッド、つぶらで大きな瞳はとても愛らしく、多くの犬好きを魅了し続けているのは皆さんもご存知のとおりです。その愛らしい表情や仕草に癒されまくっているという方も多いでしょう。
チワワは飼い主とのスキンシップを何よりも好む上に甘えん坊な性格も特徴で、飼い主としてもとても”可愛がりやすい犬”でもあります。
そんなチワワですが、飼育を検討するならその性格や特徴をしっかりと把握しておくのもまた必要なこと。超小型犬で体の小さな愛玩犬のため、飼いやすさという一面はありますが、実はチワワは犬の中でもしつけが難しい犬種としても知られているのです。
ここではチワワの基本的な性格について、そして記事の後半はしつけ方についてお伝えしていきますね。
チワワは小さくても度胸抜群な性格
とても小さなその体格に似合わず、よく吠えるのがチワワの特徴でもあります。つまり、番犬としての資質も十分に備えた犬ということになりますね。飼い主にも懐きやすいため、吠えるということが気にならないのであれば比較的飼いやすい犬種といえそうです。
よく吠えるとはいえ、しつけ次第ではおとなしくしつけることも決して不可能ではありません。そこは飼い主次第と言えるでしょう。
ただし、ひとつ注意していただきたいのが、チワワ特有の「吠える」という行為。これをそのまま「無駄吠え」だと判断する飼い主さんもいらっしゃいますが、吠えることすべてが無駄吠えなのか?というとそうではありません。
吠えることは犬の仕事でもあります。それを無理矢理抑え込むことは決して褒められることではありません。吠え癖を失くすなら、しつけによって徐々に改善していくようにしましょう。
チワワの無駄吠えに関するしつけ方は記事後半で詳しく説明します。
ちょっと人見知り?警戒心の強いチワワ
チワワは勇敢な一面を備えてはいますが、他の犬に対してはとても強い警戒心を抱きます。やはり超小型犬ということもあり、臆病な一面があるのも事実です。
小さな頃から他の犬と一緒に育ったのであればそれなりに慣れてくれますが、いきなり他の犬と引き合わせたりすると威嚇して噛み付いたりすることもあります。
散歩中やドッグラン、ドッグカフェなど、他の犬がたくさんいるような場所へ連れてく際には、最新の注意を払っておく方がいいでしょう。
抱っこ大好きなチワワ♪
チワワは、一度心を許した飼い主にはとても甘えてきます。そのため、チワワを飼育するならしっかりと手を掛けてあげる環境で飼育するのがおすすめです。
年中外出ばかりして愛犬に留守番をさせてしまうような環境であれば、チワワの飼育はあまりおすすめできません。チワワは抱っこされるのがとても好きなので、甘えてきたら十分に甘えさせてあげるようにしたいものです。
ただし、ここでもしつけは大事です。あまりに甘やかしすぎてしまうと、ただのワガママ犬になってしまいます。甘えさせてあげることと甘やかすことはイコールではありませんので、注意しましょう。
縄張り意識が強いチワワ
よく吠えて、他の犬にもなかなか心を許さないチワワは、言い換えれば、
- 「自分のテリトリーには何人たりとも入れさせない」
- 「誰にも触れられたくない!」
という頑固さを持っていることになります。つまり、縄張り意識も強い傾向にあるため、見知らぬ人が家に来た際にも、激しく吠えたり噛み付いたりという行動へとエスカレートしてしまう危険もあります。
一度人に慣れてしまえばそれほど心配することはありませんが、あまり散歩にも行かずに家の中にいることが多いチワワの場合は、家に出入りする人にも注意を払っておくことが必要です。
無邪気で好奇心旺盛なチワワ
頑固で臆病な一面がある上に、体の小さいチワワは、とてもストレスを溜めやすい性質があります。しかし一方では、好奇心が強くて無邪気な性格を持った犬種でもあります。そのため、おもちゃなどで遊ばせてあげるのもストレス発散におすすめです。
また、チワワは散歩の量もそれほど必要ないと言われていますから、なかにはほとんど散歩させない飼い主さんもいます。それはそれで間違いではありませんが、たまの気分転換という意味では散歩も有効な方法です。散歩へ連れ出せない場合でも、おもちゃで遊ばせてあげることで運動不足解消にも繋がります。
臆病さの際立つ性格!『突然』には要注意
チワワは臆病な一面があると述べましたが、それゆえに、突然驚かせたりするのは相当なストレスになってしまうので気を付けましょう。
急に驚かせてしまうと、びっくりして噛み付いたりすることもありますし、そうしたストレスが積み重なって体調不良を引き起こすこともあります。
愛犬の体調管理には、いかにストレスを減らしてあげるかという部分も非常に重要な要素ですし、ましてやチワワのような臆病な犬種に関しては、より一層の注意が求められます。
意外としつけの難しいチワワ!その理由は『甘やかしすぎ』
チワワのしつけが難しいと言われる理由は、その愛らしさにあります。可愛いあまりに甘やかして飼育してしまう飼い主が多いのです。
『しつけが難しい』というよりは、『しつけがしにくい犬になってしまう』と表現した方が適切かもしれませんね。
チワワはとても賢さを兼ね備えた犬種なので、しっかりしつけをしようとすればさほど難しくはないのです。しかし、一旦甘やかして飼育してしまうとワガママ犬に陥りやすい危険もあるということです。
トイ・グループなればこそのしつけが難しいというデメリットも
また、他の犬種とは少々異なる歴史もチワワのしつけが難しい一因になっています。多くの犬種は、その歴史を辿ると狩猟や牧畜などに深く関わり、その能力で人間と共存してきました。
一方のチワワは、基本的に貴族のご婦人が好んで飼育してきたという歴史があります。チワワの先祖がメキシコのテチチという犬であるということはよく知られていますが、野生ならともかく、現在のチワワの歴史をみれば愛玩犬として重宝がられてきたわけです。
他の犬種のように、能力で人間をサポートしてきたわけではなく、貴族が優雅にのんびりと暮らすためだけのステータスを与えられてきた犬種です。そのため、本来備えておくべき『従う』とか『倣う』という能力が低下してしまっているとも言われています。
それゆえ、「チワワはしつけが難しい」と言われているのです。
小さいけれど勇敢で気が強い性格…それもしつけを難しくする原因
チワワはその体高に似合わずとても誇り高く勇敢な性格をしています。体が小さいため、自分をより大きく見せようともの凄い勢いで吠えたりもします。自分の何倍も大きな犬にも臆することなく吠えかかります。
こうした性格のため、「チワワは無駄吠えが多い」と言われるのですね。しかし、これは単純に人間側の視点から見た話に過ぎません。
チワワにとって吠えるのは当たり前のことで、チワワからしてみたら決して無駄に吠えまくっているわけではないからです。かといって、あまりにも吠えまくられれば、ご近所さんに気を遣うことにもなりかねませんし、ましてや人が来るたびに吠えられていては訪問客にも神経を使ってしまいます。
チワワが吠えることは仕方がないこととして、どこまでを無駄吠えと捉えるかがしつけを難しくしている要因にもなっているようです。
チワワのしつけに重要なポイントとは?
チワワのしつけが難しいからといって、まったくしつけができないのかといえばそうではありません。
先にも述べましたが、しつけを難しくしている要因さえ知っておけば、それほど苦もなくしつけることができます。まず何よりも大事なのは飼い主の立ち位置です。飼い主はチワワにとって絶対的なリーダーである必要があります。
もちろん、これはチワワに限らずどの犬種にも言えることですが、飼い主が犬と同等の立場、もしくは犬よりも下に見られていたらしつけなど到底叶いません。
チワワを飼育する上でついつい甘やかしすぎてしまうのが大きな原因となっているのですから、まずはそれを改善することから始めなくてはなりません。
飼い主に従うという本能が薄れているにしても、元来が賢い犬種ですから、しつけようと思えば案外あっさりとクリアできてしまうこともあります。
その可愛さのあまり、しつけしようにもどこかで「可哀想」といったような気持ちがあれば、賢いチワワは敏感に察してしまい、余計にしつけしづらくなってしまうのです。
『可愛いから特別扱い』は無駄吠えの原因に!
チワワを飼う上でもっともしつけに困るのが無駄吠えです。前項でも述べましたが、どこまでを無駄吠えとするかはかなり難しいのが現状です。少なくとも、吠える行為自体をすべて無駄吠えと判断してしまうのはあまりにも安易すぎます。
ではどこを基準に無駄吠えの改善をしていけばいいのかというと、その吠えるという行為が、甘えから生じているものなのかどうかという点がポイントになります。チワワに限らず、犬の吠え癖は『甘え癖』が原因であるケースがほとんどです。
スキンシップを図り、時には甘えさせてあげることも大切ですが、終始チワワの要望通りのことをしてしまっていては、単なるワガママ犬になってしまいます。これはどこか人間の子育てにも似ていますよね?
我慢させることも良好なパートナーシップを築いていく上では欠かせませんし、それが”群れ”のルールでもあります。その群れのルールを示すのは誰か?というと、それが飼い主でなければならないわけですね。
一度飼い主がリーダーシップを握ってしまえば、賢いチワワですからとても従順になりますし、それだけで無駄吠えをある程度抑制することができます。
飼い主の様子を察して、チワワの方で吠えていいのかいけないのかという判断をすることもできるようになります。もちろん、そうした関係にするためには相応の時間も必要になりますが、飼い主と犬との関係がしっかりと築かれさえすれば、その後はとても強い信頼関係が出来上がります。
さらに、吠える行為は恐怖から発生していることもあります。物音や人間、他の犬などに吠えるということは怖いがために巨勢を張っているという行為そのものです。
飼い主が絶対的なリーダーシップを発揮してあげるだけで、強いリーダーに守られているという安心感に繋がり、威嚇による無駄吠えを減少させることもできます。
チワワの性格としつけ方まとめ
チワワが飼い主に求めるのは、甘えさせてくれる存在であり守ってくれる存在です。飼い主としてリーダーシップを発揮しつつ、常に見守っていられる心の広さや余裕も備えておくのが理想です。
どれだけ安心させてあげることができるのか?という点がチワワの飼育には大事だということです。もちろん、ここで述べたチワワの性格がすべてというわけではありません。個体によって多少の差があることもまた事実です。
基本的な性格はこれまで述べた通りですが、主な性格は飼い主さんによっても異なります。それだけ、飼い主としての責任も重大というわけですね。
チワワには被毛の短いスムースと、被毛の長いロングコートの二種類があります。どちらを選ぶかは好みにもよるかと思いますが、基本的な性格はどちらも似通った性格です。
チワワ特有の性格を理解し、しっかりと飼育環境を整えた上でお迎えするようにしたいものですね。
しつけ方の基本は「早い段階で行うこと」
飼い始めたときから飼い主がリーダーとして君臨していれば、それだけで従順な愛犬となってくれます。どうしても甘やかしてしまいたくなる気持ちも分からないではありませんが、飼い始めからしっかりとした上下関係を構築しておくと、その後のしつけもとても簡単です。
逆に、ずっと甘やかして飼育してきた場合、そこからしつけとなるとかなり苦労しなければならなくなります。どうしても愛犬が可愛いために、厳しく接することができなくなるということもあります。
しつけをしたいけれどなかなかうまくいかない……。そんな場合は迷わずドッグトレーナーなどに相談するのもおすすめです。
しつけは犬が人間と共存していくためには欠かせないものですから、しつけができないとなると犬にとっても良くありません。
適当なしつけをすればいいというものでもありませんから、もし飼い主自身がしつけに対して十分な理解ができていないのであれば、プロの指示を仰ぐのが一番の近道です。
賢くて愛らしい――犬としてこの上ない長所を持ったチワワですから、理想のパートナーシップを構築することさえできれば、穏やかなドッグライフを過ごすことができます。
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