犬をイメージしてくださいと言われてどのようなものを思い浮かべますか?恐らく、ポメラニアンのようにまるでぬいぐるみのような愛らしい姿や、ピンと耳を立てた精悍な姿などを想像される方がほとんどかもしれませんね?
犬は、見た目でジャンル分けされることはありませんが、一般的に広く流布しているジャンルとしては、近年「ブサカワ犬」というジャンルが人気のようです。
ブサカワ犬については、もはや説明すら不要かもしれませんが、一応おさらいとして補足しておきましょう。その上で、今おすすめのブサカワ犬についてもご紹介していきます。
ブサカワ犬とは?その定義と歴史
ブサカワ犬という犬種が存在するわけではありませんが、今やブサカワ犬というジャンルも広く浸透してきた感があります。ブサカワ犬というのは、その名のとおり「ブサイクなのに可愛い」犬のことです。特に決まった定義というのは存在せず、単純にブサイクな顔なのに愛らしい犬のことを指します。
そもそも、ブサカワ犬という言葉が誕生したのもそれほど昔ではなく、ごくごく最近のことです。1990年代~2000年初頭にキモカワやエロカワという言葉が流行し始め、ブサカワという言葉もその派生的な言葉として日常でも使われるようになってきたようです。
ちなみに、人間に対して使用している「ブスカワ」という言葉に対し、「ブサカワ」という言葉はペットに対して使われる言葉となっているようです。
ブサイクなのにどこか憎めない可愛さというよりも、そのブサイクさそのものが可愛いという意味で使われることが多いようです。
では、ここからはお待ちかね(?)の厳選ブサカワ犬をご紹介しましょう。これから犬を飼おうと考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。
ブルドッグ
「ブサカワ犬」という言葉が流行る以前からブサイクの代表格として君臨しているのが、ご存知ブルドッグです。ブサカワというよりも、そもそもブサイクそのものといった風貌ですが、愛好家や犬好きには根強い人気のある犬種です。
イギリス原産で闘犬として活躍してきた歴史もあり、その風貌から獰猛さを感じてしまいがちですが、現在では家庭犬として飼育しやすいように改良が加えられているので安心です。ずんぐりむっくりな体型は、確かに愛嬌を感じさせてくれます。
ハナペチャな風貌は、牛の脚に噛み付きながらも呼吸がしやすいように改良された結果だと言われています。日本ではすでに家庭犬として知られていますが、夏の暑さには要注意です。
フレンチ・ブルドッグ
ブサカワ犬として、今ではブルドッグ以上の人気を得ている犬種ですね。
とてもやんちゃで遊び甲斐のある犬種ですが、一度遊ばせておくとずっと一人で遊んでいてくれるのも飼いやすいと言われる所以でもあります。
ペキニーズ
「構わないでおくれ……」とでも言いたげなその表情が、どこか哀愁すら感じさせてくれます。小型ですし家庭犬としてはおすすめですが、しつけは結構難しいです。
中国原産の犬種で、日本の狆とも間違われやすい犬種です。本場イギリスでも人気の高い犬種ですが、プライドが非常に高くて独立心も強いため、そのため、「犬らしくない犬」「猫らしい犬」とも言われるほどです。
小型犬ではあるものの、臆病で攻撃的ということもなく、のほほんとしたパートナーが欲しいという人は飼育を検討してみるのもいいかもしれません。
シャーペイ
各国のケネルクラブなどによって、公認されているところとそうでないところがあり、恐らくは、よほどの犬好きでなければ名前を知らないという方の方が多いかもしれません。
シャーペイの特徴は、今にも脱皮しそうな”だるる~ん”としたボディです。特に子犬期のしわくちゃ具合は最高潮で、飼育の際には衛生面でも十分な気遣いが必要です。
チャウチャウ
こちらも、ブルドッグと同様にブサカワ犬という言葉が流行る以前からブサイクの代表格として君臨してきました。最近ではあまり見かけなくなってしまった犬種ですが、一部の愛好家からは依然根強い人気があります。
中国原産の犬種で、秋田犬が今ほど人気が無かった時代にはブサカワの代名詞と言えばチャウ・チャウでした。やや独立心の強い犬種で、たまにツンデレな一面を見せることもあります。
番犬として活躍してきたくせに意外と物静かな性格で飼い主には従順ですが、一度気に入らないことをされると攻撃的な一面を見せることもあります。しつけに不慣れな初心者が家庭犬として飼育するにはややハードルが高めです。
ペキニーズと同じように、「できればそっとしておいておくれ……」というタイプの性格なので、しつけも難しい犬種です。
シー・ズー
おすすめの犬種ランキングでは必ず上位に顔を出しているシー・ズーも、いわゆるブサカワ犬の部類に入ります。シー・ズーの場合、ブサイクというよりはもはや愛くるしさの方が勝ってはいますが、鼻の潰れた顔はやはりブサカワというジャンルに加えても差し支えないでしょう。
中国原産の小型犬で、ペキニーズとラサ・アプソとの交配で誕生したとされています。ラサ・アプソという犬種は日本ではあまり知られていませんが、アメリカでシー・ズーよりもラサ・アプソの方がやや人気が高いとも言われます。
シー・ズーは、元となったペキニーズとラサ・アプソの特徴を見事に有している犬種で、日本で登場したのは昭和30年代と言いますから、日本における飼育の歴史もそれほど深くない犬種です。
祖先のペキニーズとは性格も真逆で飼育もしつけもしやすい犬種です。
狆
鼻ペチャな犬種としては、日本代表ともいえる狆(ちん)。ペキニーズとどこか似ていますが、古来よりこの風貌であったかは定かではありません。
狆には、中国原産の犬種と知られるペキニーズの血が濃く入っていると言われています。ちなみに「狆」というのは和製文字で、中国にはそういう漢字はないそうですよ。そういったあたり、日本原産の犬種に相応しいイメージがありますよね。
座敷犬としての歴史が長く、猫代わりに飼育されてきたといっても過言ではないほどです。物静かですし体臭もあまりしないという、家庭犬となるために誕生したような犬種です。
パグ
もはや説明もいらないほど有名なブサカワ犬です。握りこぶしという意味があるその名前のとおり、ギュッと縮んだような風貌がたまらなく愛らしいと人気が高まっています。
日本ではパグというのが当たり前の名前ですが、実は国ごとにその呼称も異なるという珍しい犬種でもあります。
とても甘えたがりな性格なので、よけいに可愛さが倍増してしまうのかもしれません。
ボストン・テリア
フレンチ・ブルドッグよりも小型なので、日本でも飼育しやすい犬種です。
フレンチ・ブルドッグに似てはいますが、性格は結構頑固者で、比較的独立心も強いと言われています。フレンチ・ブルドッグよりも、根気強いしつけが必要です。
秋田犬
恐らく、ブサカワ犬というブームの立役者と言ってもいいのが、この秋田犬です。秋田犬の「わさお」が人気となり、「ブサカワ犬」という言葉が一気にブレークしました。言い換えれば、ブサカワ犬ブームの火付け役です。
柴犬や甲斐犬などのような中型犬とは違い、日本原産として唯一の大型犬種です。日本原産ということにはなっていますが、歴史をどんどん遡れば外国から連れてこられた犬が独自の交配によって秋田犬となったのではないかという説も一部で囁かれているほど、ミステリアスな犬種です。
甲斐犬
こちらも決してブサイクというわけではありませんが、毛色がブサイクと言えばそんな気もします。
甲斐虎犬という別名を持つ日本原産の犬種です。集団行動を好み、オオカミらしい精悍さを残した甲斐犬は、運動能力も高く、山岳地を巧みに走り回るその俊敏さも魅力です。
ただし、飼い主以外の人間に心を許すことがないため、飼い主がコントロールできなければ飼育の難しい犬種となります。
土佐犬
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土佐闘犬としても知られる土佐犬は、愛好家からジャパニーズ・マスティフとも呼ばれます。四国犬を元に、ブルドッグやマスティフなどとの交配が重ねられて現在の姿が確立されています。
とても我慢強い性格ですが、闘争心が非常に高いため、犬の扱いに慣れた人でも飼育の難しい犬種です。初心者の飼育は絶対におすすめできません。
イタリアン・グレー・ハウンド
wikipedia
通称「イタグレ」。こちらもブサイクどころかスマートな佇まいですが、ガリガリな体型に一見の価値があります。ブサカワと言える残念なところは、その見た目の通り、骨折しやすい犬種でもあります。そのままですね。笑
その見た目から、犬に詳しくない人からミニチュア・ピンシャーとも間違われやすい犬種ですが、その祖は古代エジプトでも飼育されていたほど歴史の長い犬種です。
とても優美で気品ある姿形に魅了される愛好家も多く、日本における飼育数も増加しています。ただし、この犬種は冬の寒さに滅法弱いため、冬は温度管理や衣服の着用なども必須です。また、そのスリムな体付きから骨折をしやすいとも言われています。
非常に飼い主にも懐きやすく、利発なため、飼育のしやすい犬種でもあります。
日本テリア
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ブサイク…というわけではありませんが、なぜか顔だけ真っ黒な不思議さがあります。
日本で唯一のテリア系犬種です。その歴史も浅く、1,700年代にオランダから輸入されたスムース・フォックス・テリアという犬種が祖と言われます。別名ミカド・テリアやお雪テリアとも呼ばれてきた歴史もあります。
特に、狩猟や使役をこなしてきたわけではなく、単に抱き犬として繁殖されてきた犬種でもあります。ちょっとプライドが高めですが、日本原産ということもあり、しつけにさえ気を付ければ初心者でも飼いやすい犬種です。
ブル・テリア
鼻ペチャでもなく、たるんだ顔をしているわけでもないのにブサイクな犬――その代表格がブル・テリアです。細い釣り目がブサイクさを際立たせていますが、闘犬としてもとても重宝されてきた犬種でもあります。
その名前からも推察される通り、ブルドッグとテリアとの交配で誕生した犬種です。闘犬を目的に誕生した犬種ですが、現在ではその攻撃性も改良が加えられ、家庭犬として問題なく飼育できるレベルになっています。白いブル・テリアは「白い騎士」と言われるほど人気があります。
この犬種のさらに小さいタイプとして、ミニチュア・ブル・テリアという犬種も存在しますが、あまり日本ではお目にかかれません。
現在では改良が加えられ家庭犬としての飼育も可能ですが、闘犬時代の性格も引き継いでおり、しつけの難しい犬種としても有名です。
マスティフ
チベタン・マスティフを祖とする犬種で、多くのマスティフ系犬種はこのマスティフを経由して交配されています。
今から2,700年ほど前のバビロンのレリーフには、ライオン狩りをしているマスティフが描かれていると言われるほど歴史のある犬種です。
風貌は怖そうですが、飼い主にはとても従順です。ただし飼い主を守る意識の強い犬種なので、しっかりコントロールできることが飼育の大前提となります。
ブル・マスティフ
文字通り、ブルドッグとマスティフとの交配から誕生した犬種で、番犬として活躍してきました。
飼い主に従順ですが、警戒心が強いため、その習性から見知らぬ相手に吠え掛かることもあります。飼育にはしっかりとした主従関係が求められます。
ボクサー
ドイツ原産の犬種で、警備犬などとしても活躍してきました。通常の犬よりもマズルの幅が広く、目元から鼻にかけて鋭角にターンしているのが特徴です。
見た目が怖そうですが、性格は案外穏やかです。しかし警戒心が強く、心を許しあえる関係構築が必要です。
まとめ
以上、代表的なブサカワ犬をご紹介しました。その表情だけで大きな癒しを与えてくれるブサカワ犬たち。ぜひ飼育候補に加えてみてはいかがでしょうか?